2025年M&A市場の動向と過去最多の1344件に見る日本の企業戦略
2025年、M&A(企業の合併・買収)市場は、前年と比較して件数が10.1%増加し、1344件に達しました。これは、2008年の集計開始以来、過去最多の件数であり、しかも5年連続での記録更新となります。取引総額は、前年比93%増の20兆3870億円に達し、武田薬品工業によるシャイアーの買収があった2018年以来、7年ぶりに過去最高を記録しました。適時開示が求められているM&Aに関する情報を基にしたこの調査は、M&A Onlineによって集計されたものです。
M&A件数の背景
2025年のM&A活動がここまで活発になった理由の一つとして、日本企業がM&Aをより積極的に活用していることが挙げられます。1344件という数値は、特に大企業が非中核事業の切り離しを進めていることを反映しており、「選択と集中」という企業戦略が現れていることからも伺えます。
トップの案件
最も注目を浴びたのは、トヨタグループによる豊田自動織機の非公開化です。これは、約4兆6840億円の取引額に達し、日本のM&A史上でも屈指の規模とされています。この動きは、資本効率の向上や迅速な意思決定が求められる中での戦略的な一手と位置づけられています。
2位には、ソフトバンクグループが米半導体設計企業のアンペア・コンピューティングを9730億円で子会社化し、3位にもソフトバンクがスイスのABBからロボティクス事業を8187億円で取得しました。これらの取引は、AI市場の成長を背景にしたもので、ソフトバンクの成長戦略が色濃く反映された結果です。
M&A市場の3つの特徴
2025年のM&A市場には、以下の3つの特徴が見られました:
1.
選択と集中:ただの資産売却ではなく、中核事業に経営資源を集中させる動きが顕著。セブン&アイや三菱ケミカルの事例が典型的です。
2.
海外展開:日本企業は、国内市場の成熟化に伴い、成長機会を海外に求める傾向が強まっています。アサヒグループが英ディアジオの東アフリカ事業を取得するなど、多くの例がひしめいています。
3.
投資ファンドの存在感:投資ファンドが上位20件の取引のうち8件に関与しており、企業の非公開化やカーブアウトの案件で重要な役割を果たしています。
今後の展望
M&A Onlineでは、2025年のM&A市場を総括した「M&A年鑑2026」を来年1月29日に発売予定です。最新データと業界動向を網羅した内容になっており、日本のM&Aシーンに関心がある人々にとって必見の資料となります。
企業の合併・買収が進む中、M&Aの活用方法や戦略は今後も進化し続けるでしょう。日本経済の成長に寄与するため、M&Aが果たす役割はますます重要になっていくと予測されます。