2024年5月、CCCマーケティング総研は新たに『産業動向レポート』と『産業天気予報』を発表しました。このレポートは、CCCMKホールディングスが提供するアプリ『レシーカ』のレシートデータや、全国の主要企業への調査に基づいています。特に注目すべきは、中食・惣菜市場の急速な回復と成長です。新型コロナウイルスの影響を受け、2020年には市場規模が縮小しましたが、その後は明確な回復傾向を示しています。2023年度には、中食・惣菜市場は前年比4.9%増の約10.9兆円に達しました。
この成長を受けて、中食・惣菜市場は特にコンビニエンスストアによって牽引されています。しかし、最近のデータによれば、スーパーマーケットの成長が目を引くほど大きく、さらにはドラッグストアでも中食・惣菜の販売が増えています。これにより、中食・惣菜は小売市場において欠かせない売り場の一つとなっています。
市場をカテゴリー別に見ると、米飯類が最も大きく約4.8兆円を占め、全体の43.9%を形成しています。特に、おにぎりはカテゴリーの主役として、新たな高級路線や品質にこだわった商品が増えてきました。炊き込みご飯や混ぜご飯タイプも人気を博しています。次いで一般惣菜が約3.8兆円で34.9%を占め、揚げ物や焼き鳥、焼き魚が堅調に推移しています。また、調理麺の市場は急激に拡大しており、和・洋・中全てのジャンルで成長が見込まれています。
市場の拡大要因には、生活者の時間の使い方の意識変化と、メーカーの技術革新があります。さらに、最近ではインバウンド需要も追い風となっています。SNSを通じて日本の美味しい惣菜が広まり、特にコンビニエンスストアで提供される商品は高い人気を誇り、訪日外国人の間でも注目されています。
CCCマーケティング総研では、社会の変化や生活様式に着目した意識調査を行い、約7000万人のデータを基にした生活者動向の把握や、オンラインセミナーを通じた情報発信を行っています。2024年5月には生活者の行動パターンなども踏まえた新たなレポートが予定されています。
マーケティング環境が変化する中、中食・惣菜市場はその重要性を増し続け、業態間競争での優位性を決定づける役割を果たすでしょう。これからの動向に注目が集まります。