いのち会議が拓く未来の道
2025年10月11日、大阪の関西万博会場にて「いのち会議」が「いのち宣言」や「アクションプラン集」を発表しました。本イベントの一環として、いのちを「まもる」という理念のもと、市民が互いに信頼し合う社会を構築するためのアクションプランが取り上げられました。今回、特に注目すべきは、ネットと実際の対話を組み合わせ、より良い社会を実現するための具体的なアイデアを世界中から集める取り組みです。
社会課題に対する市民の進化と実践
このいのち会議では、市民参加の進化に関する取り組みを紹介しており、バルセロナ市での40,000人規模の市民参加による計画策定や、ニューヨーク市の予算決定における11歳以上の市民の参加、さらには兵庫県加古川市における若者主導の政策実現が挙げられます。これらの取り組みは、テクノロジーとコミュニティの力による「シビックテック」の実践を通じて、具体的な成果を上げてきました。これにより、テクノロジーを活用した市民の集合知が、政策の立案と実行を変革できることが示されています。
デジタル民主主義プラットフォーム「Decidim」の役割
「Decidim」は、2016年にバルセロナで誕生したデジタル民主主義プラットフォームで、世界中の450のサイトで運用され、約300万人が利用しています。日本では、一般社団法人コード・フォー・ジャパンが日本語バージョンを推進し、このプラットフォームを利用した市民参加型の活動が進行中です。加古川市では、2020年にDecidimが設立されて以来、多くの国や自治体、企業による取り組みが生まれています。
しることとつなぐことの重要性
いのち会議の活動では、Decidimを活用した市民の参加を促進するために、以下のような取り組みが考えられます。
- - 「しる」の観点: デジタルプラットフォームを介して、市民の多様な声や知恵を可視化し、異なる世代の経験を共有します。透明性を確保することで、相互理解を促進し、情報へのアクセスを民主化することが目指されています。
- - 「つなぐ」の観点: オンラインとオフラインの橋渡しを行い、新しいコミュニティを形成します。世代間や地域間の対話を促進し、市民と行政、さらに多様なステークホルダーの協力を実現します。
これらの取り組みは、国連が推進するSDGsの目標にも寄与するものであり、地域の「いのち」の知恵をグローバルにネットワーク化するための基盤ともなります。Decidimは、このようなデジタルアーカイブの役割も担っています。
シビックテックの未来
いのち会議は、さまざまな団体と連携しながら、人々の声を記録し、その活動を未来へつなげるための市民参加の新たな可能性を広げていくことを大切にしています。この過程で、集まったデータや知恵は、誰でも利用できるデジタルコモンズを形成し、次世代へと引き継がれていくのです。
いのち会議の取り組みは、今後もより良い社会を築くための参考となり、多くの人々の心に響く活動として続いていくことでしょう。これにより、私たちの未来がより豊かで持続可能なものとなることを期待しています。