旭化成の再生土壌を用いた緑化実証が世田谷区で始動
東京都世田谷区で、新たな緑化プロジェクトが動き出しました。旭化成ホームズ株式会社と一般財団法人世田谷トラストまちづくりが連携し、都市の水害や緑化不足といった社会課題に対処するため、雨庭を中心にした実証実験を開始します。この実証実験は、再生土壌を利用し、持続可能なまちづくりを目指す取り組みの一環です。
実証実験の目的
雨庭とは、雨水を一時的に貯留し、ゆっくりと地面に浸透させることで、都市部の水の管理を助ける設計の庭のことです。近年の気候変動による豪雨や都市化の進展の影響で、都市部では浸水被害が増加しています。この実証実験では、軽量気泡コンクリートから作られた再生人工土壌「ボストンファームⅡ」を用いて、雨庭の機能を検証します。保水性や浸透性の評価はもちろん、植えた植物の成育の状況も観察されます。
「ボストンファームⅡ」の特長
「ボストンファームⅡ」は旭化成グループが開発した再生利用可能な土壌で、ALC(軽量気泡コンクリート)を主原料に、剪定枝堆肥などの有機資材を添加されています。この素材は、耐火性や耐水性に優れており、環境に配慮した持続可能な資材として注目されています。これまでにも、東京の新国立競技場や東京駅八重洲口などに導入されています。
実証フィールドと期間
今回の実証実験は、世田谷区内の住宅展示場二か所で行われます。実施期間は2025年10月からの1年間で、試験結果に基づいて延長の可否が判断される予定です。
都市緑化の必要性
世田谷区は宅地が約70%を占め、緑化が難しい環境にあります。従来の雨庭の仕様では、受け皿となるスペースや材料の選定が課題でしたが、ボストンファームⅡの使用により、スペースを節約しつつ効果的に水害対策が行える新手法の普及が期待されています。
未来への展望
この実証実験を通じて得られるデータや知見は、都市型自然災害への対応能力の向上やエコロジカルネットワークの構築に寄与することが期待されています。旭化成ホームズと世田谷トラストまちづくりは、実証フィールドの拡充を検討しながら、再生ALCの活用を促進します。これにより、持続可能な街づくりと地域貢献の拡大を目指しています。
結び
今回の取り組みは、都市化と気候変動という矛盾する問題を同時に解決しようという試みです。地元のボランティアや住民と共に取り組むこのプロジェクトが、利便性と環境保護の両立を可能にするモデルケースとなることを願います。