アストロスケールがインドのNSILと結んだ打上げ契約
株式会社アストロスケールは、持続可能な宇宙環境の実現を目指して「ISSA-J1」という大型衛星デブリを対象とした接近・観測ミッションをスタートします。このミッションに向けて、インドの宇宙関連企業、NewSpace India Limited(NSIL)と打上げ契約を締結したことが発表されました。正確には、PSLVと呼ばれる極軌道打上げロケットを使用して、2027年春にインド東部のサティシュ・ダワン宇宙センターから打ち上げる予定です。
ISSA-J1ミッションの目的
ISSA-J1は、近隣の衛星デブリを対象としており、デブリの特定や位置確認、危険性評価を行うことを目的としています。アストロスケールの社長である加藤英毅氏は、NSILの選定は数多くの打上げ会社の評価を経てのものであり、PSLVの技術的な信頼性や実績を強調しました。このミッションでは、大型衛星2機の周辺を撮影・診断することで、デブリ除去の技術開発が進むと期待されています。
打上げに向けた準備
すでにISSA-J1の設計は終盤を迎えており、関連コンポーネントの製作も始まっています。今後は衛星システムの組み立てと試験を進め、ミッション成功に向けた万全の体制を整えていくことが求められます。
アストロスケールのビジョン
アストロスケールは、宇宙空間での安全性と持続可能性を重視し、運用終了後の衛星デブリの除去や寿命延長を図るサービスを展開しています。その実績は、ELSA-dやADRAS-Jといったミッションを通じて証明されています。また、宇宙航空研究開発機構(JAXA)や他の国際機関と提携し、グローバルな取り組みを行っています。
加藤社長は、インド市場の開拓も見据え、すでに地元のスタートアップとのMOUを締結。日本企業としてはニュース性のある契約となるNSILとの協力は、今後のビジネス展開には大きな意味を持つと考えています。これは、日印経済フォーラムの壇上でも紹介され、物理的なデブリの除去だけでなく、宇宙ビジネスのあり方にも影響を与えることでしょう。
今後の展望
アストロスケールは、宇宙の持続可能性を追求することで、より良い未来を築くことができると信じています。ISSA-J1ミッションの成功は、その取り組みをさらに加速する契機となり、軌道上での活動がますます重要視される時代を迎えつつあります。持続可能な宇宙という理念のもと、アストロスケールは世界中の宇宙利用者と協力し、革新的な解決策を提供していくつもりです。