IT人材不足がもたらす危機
経済産業省が発表した報告によれば、2030年までに日本国内で最大79万人のIT人材が不足すると予測されています。この深刻な問題に対し、実際に企業がどのように感じ、またどのような対策を講じているのかを探るため、株式会社TAG STUDIOが運営するプログラミング学習者向けWebメディア「プロリア プログラミング」が行ったアンケート調査が注目されています。
アンケート調査の概要
この調査は全国の企業の経営者、人事担当者、技術者を対象に実施され、合計102名からの回答が集まりました。その中で、約90%の回答者がIT人材不足の危機を実感していることが明らかになりました。特に多くの企業が不足を感じている職種には、バックエンドエンジニアやインフラエンジニアが含まれており、これらの職種はシステム基盤を支える重要な役割を担っています。
企業の不安と対策
調査の結果、企業はどのようにこの危機に立ち向かおうとしているのでしょうか?まず最も多くの企業が選んだ対策は「中途採用の強化」で、53%がこの方法を選びました。続いて、自社内でのリスキリングやアップスキリング(47%)、さらにはフリーランスや業務委託の活用(26%)が挙げられました。
この背景には、少子化や高齢化が進む中でのIT業界の急成長があると言えます。企業は求められるスキルを持つ人材を獲得するために、採用競争が激化しており、条件の整った人材を確保することがますます難しくなっています。
実感する具体的な不足職種
具体的に見ていくと、バックエンドエンジニアは39%、インフラエンジニアは38%が不足していると感じており、AIエンジニアやデータエンジニアもそれぞれ31%と29%で不足感が強まっています。これらの職種は、特に今後のテクノロジー発展や企業運営に欠かせない役割を担っているため、ますます重要性が増しています。
企業の取り組みと格差
一方で、待遇の向上に取り組む企業はわずか4%という結果も明らかになりました。この放置された問題は、優秀な人材が集まらない要因の一つとなりえます。企業は待遇面だけでなく、働きやすい環境を提供することが、今後の人材確保において極めて重要であることを認識する必要があります。
まとめ
今回の調査結果は、IT人材不足が多くの企業にとって現実の課題として認識されていることを示しています。企業としては、従来の採用・育成方法を見直し、より戦略的な人材確保・育成計画を策定し実行することが必須です。今後もIT業界は変化の激しい分野であり、企業はこの波に乗り遅れないよう、真剣に取り組むことが求められます。未来を見据えた具体的な対策が、今のIT人材不足の解決へとつながるでしょう。