日本人女性醸造家による新たな挑戦
フランス・ボルドーで初めて、日本人女性として醸造を手がける百合草梨紗氏が、「シャトー・ジンコ」の2022年ヴィンテージを2024年10月8日(火)から発売します。このワインは、彼女の情熱とこだわりが込められた特別な一品です。
醸造家の道のり
百合草氏は、短大を卒業後にワインの試飲会で出会った「サンテミリオン」のワインに捉えられ、21歳でフランスに渡りました。彼女はボルドー商工会議所の専門学校で、ぶどう栽培や醸造技術を学び、高い成績で卒業。長い間、ワインのネゴシアン業に従事しつつ、自身のワインを創る夢を抱くようになりました。
数年後、夫マチュー・クレスマン氏とともに理想の畑を探す中、カスティヨン地域の優れた畑が売りに出ていることを知ります。著名な醸造家や土壌専門家から「素晴らしい場所」とのお墨付きを受け、彼らはその地を手に入れる決意を固めました。こうして、2016年に初めてのヴィンテージが誕生しました。
オーガニックへの取り組み
百合草氏は、昔ながらの手法を重視し、土壌に働きかけることで、環境への配慮をしながら、丁寧にぶどうを育て続けています。「シャトー・ジンコ」は、2019年からオーガニック認証「AB」を取得し、2020年以降はビオディナミ農法も実践。また、2022ヴィンテージからは「デメター」認証も獲得し、その品質をさらに高めています。
2022ヴィンテージの特徴
発売される2022ヴィンテージは、750mlボトルで、希望小売価格は15,000円(税別)。ブドウ品種はメルロー100%で、AOPはカスティヨン・コート・ド・ボルドーに認定されています。畑は石灰質と粘土質の土壌を有し、サンテミリオンと同様の「プラトー」と呼ばれる台地に位置しています。南向きのなだらかな斜面にあり、平均樹齢は35から40年、収量は1ヘクタール当たりわずか25ヘクトリットルです。化学肥料や農薬は一切使用せず、有機農法を徹底しています。
テイスティングノート
「シャトー・ジンコ」2022ヴィンテージのテイスティングでは、黒味がかったガーネット色が特徴です。赤い果実やブラックベリー、キルシュの甘美な香りが漂い、ジューシーなタンニンと滑らかな酸味がバランスよく調和しています。スミレやリコリスの花の香りが感じられ、濃縮された果実味が口の中に広がりつつ、余韻が長く続きます。さらに、トーストの香ばしさやセージのハーブ香、細かな胡椒のスパイシーさが織りなす複雑なアロマが楽しめます。
このように、百合草梨紗氏の情熱が息づく「シャトー・ジンコ」は、ワイン愛好家にとって必見の一品です。ぜひこの機会に、彼女が手がけた特別なワインを味わってみてはいかがでしょうか。