地衣類の魅力を探る旅
地衣類とは、きのこやカビといった菌類と藻類が共生した生き物で、その姿や生態は私たちの日常生活の中で観察することができます。しかし、一般的にはあまり知られていない存在です。特に日本国内では約1800種が様々な環境で生育しています。そんな魅力的な地衣類に焦点を当てた一冊が、
『街なかの地衣類ハンドブック』です。
身近な地衣類を知る
この図鑑は「太平洋ベルト」として知られる地域、茨城県から九州北部にかけて見られる約60種の地衣類を詳しく紹介しています。地衣類は、樹皮や塀、石垣などに付着し、その姿はまるで染み模様のように見えることがあります。見落としがちな存在ですが、街中でふと目にすると、「これが地衣類なのか!」と新しい発見があることでしょう。
地衣類が持つ重要な役割
地衣類は大気汚染に敏感で、その数は環境の変化によって増減します。だからこそ、地衣類は環境指標とされることもあり、ニュースで目にすることもあります。たとえば、ウメの木に人気のある「ウメノキゴケ」は、数が変動することで私たちに環境の状態を伝える重要な役割を果たします。
図鑑の特徴
本書では、多くの写真を用いて地衣類の特徴をビジュアルで理解できるよう工夫されています。特に巻頭には色別の地衣類一覧が掲載され、絵合わせを通じて名前を調べることができます。また、図鑑ページではアップ写真も豊富に使用しているため、見た目の鮮やかさや細部を詳しく観察できます。
初心者にも理解しやすい内容
この図鑑は、地衣類初心者でも楽しめるように工夫されています。地衣類とは何か、どのように繁殖するのか、また間違われやすい生き物についても詳しく解説。さらに、地衣類に関する素朴な疑問にも答えており、読者が基本的な知識を身につけられるよう支援します。
自然観察を楽しむ人々へ
ポケットサイズのこの図鑑は、散歩のお供にも最適です。自然観察を楽しみたい多くの人々に役立つ内容が詰まっています。教育関係者や環境問題に興味のある方にもオススメの一冊です。地衣類を通じて身近に感じる自然の多様性を、この図鑑で再発見してみてはいかがでしょうか。
著者の紹介
著者の大村嘉人氏は、東京大学大学院を修了し国立科学博物館で研究主幹を務めています。特に地衣類調査を目的に日本国内や東アジアを訪れ、地衣類に関する研究を熱心に行っています。大気汚染など社会問題との関連についても積極的に研究し、地衣類の重要性を広めることに尽力しています。
書籍情報
- - 書名: 『街なかの地衣類ハンドブック』
- - 著者: 大村嘉人
- - 仕様: 新書判80ページ
- - 定価: 1,400円+税
- - ISBN: 978-4-8299-8132-0
この地衣類の図鑑を手にして、私たちの生活の中の「小宇宙」を一緒に探検してみませんか。