株式会社三幸が切り開く新素材研究と産学連携の未来

新素材研究への挑戦

2025年1月22日、東京都企業立地相談センターは株式会社三幸の代表取締役社長、奥野敦氏への取材を行い、その内容を公開しました。三幸は浜松町に本社を置くモノづくり企業で、最近では産学連携に力を入れています。特に新素材の研究開発についての取り組みが注目されています。

経営の変遷

株式会社三幸は1969年に創業し、当初はカーボン関連の商社としてスタートしました。その後、約20年前から製造業にシフト。現在では、設計から製造、性能評価、メンテナンスまでの一貫したサービスを提供し、取引先のニーズに応じたモノづくりを行っています。

「私たちは顧客の要求に応じて製品を一緒に創り上げていくというスタンスを大切にしています。今では売上の約7割が製造業部門から来ています」と奥野社長は語ります。特に、同社のカーボンおよびセラミックス製品は半導体製造装置の加熱工程で使用されるなど、ニーズが高まっています。さらに、少量多品種の製品を短納期で提供できる点が強みとされています。

産学連携による新素材開発

技術革新が進む中、三幸は大学との共同研究を進めています。名古屋大学と東北大学との連携が進んでおり、特に注目すべきは新素材の開発です。「名古屋大学と共に設立したU-MAPでは、高い熱伝導率と絶縁性を備えた窒化アルミの開発を手掛けています。この新素材は、軽量化や冷却効率の向上を図るために期待されています」と奥野氏は述べました。また、東北大学とのプロジェクトでは、放射線を照射することで光る結晶「シンチレータ」の育成装置の開発が進められています。

DX化の取り組み

製造業のデジタル化（DX化）にも三幸は挑戦をしています。「名古屋大学や京都大学と連携し、結晶育成炉の自動操業システムを開発中です。熟練したオペレーターの手作業をAIに置き換えることで生産性を高めることを目指しています」と話しました。

港区浜松町の立地メリット

本社がある港区浜松町のメリットについても、奥野社長は強調します。都心の交通アクセスの良さ、展示会等のイベントが多く情報収集がしやすい点が挙げられました。また、東京都から提供される助成金の存在も新しい挑戦を後押ししているといいます。「東京という立地の恩恵を最大限に活用し、福利厚生面でも充実した環境を整えていきたいです」と奥野氏は語ります。