デジタル金融資産の相続実態調査
株式会社GOODREIが実施した「相続実態調査2025」によれば、故人からデジタル金融資産の存在を事前に聞いていた遺族は45%にとどまり、残る55%はその存在を知らないまま相続に直面していることが明らかになりました。この調査結果は、デジタル空間で管理される資産が新たな相続課題を引き起こしていることを示しています。
調査の背景
最近では、インターネットバンキングや仮想通貨といったデジタル金融資産が普及していますが、これらは物理的な記録がないため、遺族がその存在を認識できないことが多いのが現状です。GOODREIは、このような問題に対処するため、調査を実施し、デジタル資産の相続に潜む課題を可視化することを目的としました。
調査結果の要点
1. 親族からの情報共有
故人からデジタル金融資産について情報を聞いていた割合はわずか45%。そのため、相続手続きに入った後に遺族が資産の存在に気付くケースが後を絶ちません。特に55%の遺族は、郵便物や故人のPC履歴から資産を知ったという結果になりました。
2. ID・パスワードの入手方法
デジタル金融資産の利用にはIDやパスワードが欠かせませんが、これらの情報は「エンディングノート」に記載されていることが最も多いものの、利用率は依然として低い状況です。このことからも、事前に情報の整理や共有が必要であることが伺えます。
3. 相続手続きの遅延
「デジタル資産の相続において、手続きに想定以上の時間がかかった」という意見が多数寄せられました。この結果は、遺族が故人のデジタル資産にアクセスできず、手続きが長引くことが多いためです。
4. 亡くなる前の希望
相続経験者からは、故人が亡くなる前にしておいてほしかったこととして、物理的な整理やデジタルの断捨離に関する要望があげられました。遺族が故人の意向を尊重したいと強く感じている様子が見受けられます。
専門家の意見
弁護士の坪内清久氏は、調査結果が示す「資産情報の伝達不足」が重要であり、デジタル金融資産は知られずに相続が始まることが多いと指摘しました。特に、IDやパスワードは慎重に扱うべき情報であり、生前に整理しておく必要があると述べています。
まとめ
本調査により、デジタル金融資産が相続で新たな課題を生み出していることが確認されました。GOODREIは、エンディングノートや遺言書を通じた事前の情報共有が、円滑な相続のための鍵であると考え、今後も調査やサポートを続けていく方針です。デジタル空間での資産管理がますます重要になる中、各自が生前に備えることが求められています。