新NISAの利用状況を探る
2024年より始まった新NISA制度に対する国民の認知度と利用実態を明らかにするため、三井住友信託銀行が実施したアンケート調査の結果を紹介します。この制度は、資産形成を促進するために設けられたもので、特に家計の金融資産を投資にシフトさせることが目的です。調査には全国の1万人が参加し、その結果が公開されました。
NISA口座の急増
2022年11月に発表された「資産所得倍増プラン」に基づき、新NISAがスタートしました。金融庁のデータによると、2023年末から2024年3月までの間に、NISA口座数が約186.8万口座増加し、totalで2322.8万口座に達しました。この増加は新制度の導入が国民に受け入れられ、多くの人々が資産形成に取り組み始めた証です。
資産形成制度の認知度
調査結果によると、「資産形成のための制度」として新旧NISAの認知度が最も高いということが分かりました。特に、iDeCo(個人型確定拠出年金)に続いて、新NISAの知名度は高いものの、「知らない」という回答も約4割に上りました。これは認知度の格差を示しており、さらに情報の普及が必要であることを示唆しています。
利用意向の実態
新NISAを利用していない人々への調査では、今後の利用意向について尋ねたところ、活用意思があると答えた人が多いことが分かりました。特に、「活用する予定」と答えた層は、新NISAの現在の利用者数に匹敵する人数であり、全体の3割を超えることが示されました。なお、利用しない層の約4割は今後の利用について「わからない」と答えており、依然として意向が明確でない人々が多いという現状があります。
金融リテラシーの影響
新NISA未利用者の中でも、利用意向がある人たちには特に金融リテラシー向上のためのセミナーに参加した経験が多いことが特徴として挙げられます。これは金融に関する学びが、いかに資産形成の実践につながるかを表しています。また、利用意向が高い層は、将来の生活設計についても積極的に検討していることが明らかとなりました。
まとめ
調査結果から、新NISA制度の認知度は一定の水準に達しているものの、利用実態に関してはまだまだ取り組みが求められています。周囲の人々がNISAを始めたことをきっかけに自身も始めるという流れは大切ですが、同時に金融リテラシーを高める学びの場を持つことで、より良い資産形成につながることが考えられます。自身の人生の経営者としての意識を持つことが、長期的な資産形成制度の利用に繋がることでしょう。
調査の詳細は、三井住友トラスト・資産のミライ研究所のHPに掲載されています。ぜひご覧ください。