オンラインで楽しむ伝統芸能の魅力
新型コロナウイルスの影響で、伝統芸能の公演は多くが中止または延期を余儀なくされています。特に、歌舞伎や能楽といった日本の古典芸能は、感染拡大の恐れから3000件以上の公演が中止という事態に直面しました。歌舞伎座も3月から全ての公演を規制し、8月に再開したものの、観客の距離を確保するための空席や飛沫感染防止策など、従来のような公演形式とは異なる状況が続いています。
そんな中、伝統芸能を守り続けるための新たな挑戦として、市川弘太郎氏が主催するオンライン公演「不易流行」が発表されました。この公演は、従来の舞台表現をオンラインに持ち込み、今の時代に即した形で伝統を楽しむことを目的としています。
「不易流行」に込められた思い
主催者の市川弘太郎氏は、コロナ禍の影響で「毎日舞台に立つ」という日常が突然消えたことについて深く考えました。彼は、自身の芸能活動を続けることの重要性や、伝統芸能の未来に向けた新しい試みに気づかされました。特に、新型コロナウイルスによって亡くなった狂言師・善竹富太郎氏の思いを受け継ぎ、何としても公演を実行する決意を新たにしました。市川氏は、伝統芸能を今の時代に適した方法で広めていくことを目指しています。
狂言と歌舞伎、同一演目で楽しむ
「不易流行」は、2020年10月に山梨県身曾岐神社で収録された公演です。狂言と歌舞伎の両方で同じ演目「宗論」を披露し、視聴者は両者の違いを楽しむことができます。これにより、伝統芸能の多様性や魅力を感じることができます。
新たな挑戦、感染症対策の徹底
公演の企画当初、劇場での観劇が制限されていたため、感染症対策が厳格に求められました。公演は、最小限の人数で行い、演奏は事前にスタジオで録音を行い、出演者はイヤーモニターを使用して演じます。また、アクリル板を設置し、zoomを活用した稽古も行っているなど、新しい形を模索しています。これらの取り組みは、歌舞伎の精神を受け継ぎながらも、変化に柔軟に対応する試みとして評価されています。
今後の展望
「不易流行」プロジェクトでは、今後も定期的なオンライン公演やDVD販売、さらには古典芸能を子供たちへ伝えるためのクラウドファンディング企画を予定しています。これは、将来の伝統芸能の継承に向けた重要な取り組みと言えるでしょう。
公演情報
《公演名》
市川弘太郎主催 狂言×歌舞伎 オンライン公演「不易流行」
《配信日時》
2020年12月13日(日) 18時~(12月19日(土)までアーカイブ視聴可能)
《料金》
5,000円(税込)
《出演者》
その他多数の出演者が参加します。
この公演を通じて、伝統の魅力を再認識し、次世代へとつなげる大切な機会となることでしょう。ぜひ、この新しい形の芸能を体験してみてください。