環境に優しい新薬物担持法の開発
東京理科大学の研究グループが、イブプロフェン(IBU)を用いた新たな薬物担持法を発表しました。従来の製法では、有機溶媒を使用することが一般的でしたが、今回の研究により環境負荷を低減しつつ、薬物の溶解性を向上させることに成功したのです。
この新しい手法「密封加熱法(SH法)」では、多孔質材料であるメソポーラスシリカ(MPS)にIBUを担持し、吸着させることで、IBUの非晶質化を促進します。このプロセスは、IBUの溶解度向上に寄与することから、医薬品のバイオアベイラビリティを向上させる重要な手法となるでしょう。
研究の背景と目的
主に経口投与される医薬品の多くは、その効果を発揮するためには吸収が必要です。しかし、多くの医薬品有効成分(API)が難水溶性であるため、溶解度の改善が喫緊の課題です。この研究では、APIを多孔質材料に吸着させ、非晶質化する手法が検討されました。従来法である蒸発/凝縮法(EV法)は有機溶媒を使用し、残留物質による環境問題の懸念がありました。一方、SH法はその名の通り、有機溶媒を使用しないため、環境に優しいアプローチがウリです。
研究の詳細
研究チームは、MPSを用いてIBUを様々な割合で混合し、試料調製法の違いを比較しました。結果として、MPSの細孔径が大きいほどIBUの非晶質化が促進されることがわかりました。具体的には、MPS-4Rを用いた場合、EV法よりもSH法において低いIBU含有量でも非晶質状態が確認され、その後の溶出試験においてもIBUの溶解速度向上が示されました。
さらに、SH法は従来法と同等の有効性を持ちながら、環境影響を大幅に減少させることが実証されました。
研究の意義と今後の展望
花輪教授は「本研究により、MPSは薬物キャリアとしての可能性が示唆され、今後は他の医薬品でも応用可能な手法として期待される」と述べています。この新たな薬物担持法は、持続可能な医療の実現に向けた一歩となることが期待されます。研究成果は2025年12月24日に「Journal of Pharmaceutical Sciences」に掲載される予定です。
まとめ
今回の研究は、医薬品の有効性向上と環境保護という二つの側面での進展をもたらしました。健康を守るための薬の研究が、いかに環境に配慮した形で行われているのか、その未来に注目が集まります。