核融合技術実用化に向けた国際的な取り組みと展望

核融合の重要性と国際的な協力

2050年までのカーボンニュートラル達成を目指す中で、国際社会は核融合技術への期待を高めています。特に、2024年に開催される「G7気候・エネルギー・環境大臣会合コミュニケ」において、核融合が「ゼロエミッションのクリーンエネルギー源」として位置づけられ、その実現に向けた国際的な協力が宣言されました。この背景には、各国政府が核融合実用化プロジェクトを進めていることがあります。

各国の取り組み

日本

日本では、超伝導トカマク「JT-60SA」が2023年10月にプラズマ生成に成功し、次世代の核融合研究に向けた重要な一歩を踏み出しました。このプロジェクトは、日欧共同で行われ、 ITERの後を見据えた重要な技術試験が含まれています。

アメリカ

アメリカ合衆国では、エネルギー省が2024年に合計4,600万ドルを8社の民間企業へ支援する計画を発表しました。この資金は実証炉デザインの加速に使われ、核融合産業の発展に寄与することが期待されています。

イギリス

イギリス政府は、2025年にノッティンガムシャーで原型炉を建設するために4億1,000万ポンドの投資を決定しました。これにより、国内の核融合技術の開発が強力に支援されます。

欧州連合

欧州連合では「EUROfusion」計画のもと、DEMOプロジェクトの設計を推進し、2024年には主要技術のレビューを終えて次段階に向かいます。

核融合の基礎技術とエネルギー変換

核融合は、水素の重い同位体である重水素と三重水素が結びつき、ヘリウムと中性子を生成する過程で膨大なエネルギーを生み出します。この反応が実用化されれば、わずか1gの燃料からタンクローリー1台分のエネルギーに匹敵する効率が可能になるとされています。重水素は海水から容易に取り出せ、三重水素も核融合炉内で生成されるため、持続可能なエネルギー源とされます。