ストックマークが目指す新たなAIの地平
ストックマーク株式会社は、東京都港区に本社を置く企業で、最新の生成AI技術を駆使してビジネス領域に特化したAIモデルの開発を開始しました。このプロジェクトは、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成を受けており、7000億パラメータのマルチモーダルLLM(大規模言語モデル)の設計を目指しています。
開発の背景と目的
今回の開発は、ホワイトカラー業務で頻繁に使われる複雑なドキュメントを正確に読解できるAIの必要性から発展しました。実際、ホワイトカラーの労働者の約65%は、文書作成や情報収集に多くの時間を費やしています。このような中、現行のAIモデルはしばしば「ハルシネーション」と呼ばれる現象によって、不正確な情報を生成することが多く、実ビジネス現場での信頼性が欠けていました。
ストックマークは、この課題を解決するために、ビジネス特有の図表や概念図を含む資料を正確に理解し、信頼性の高い回答をすることを目指しています。これにより、ワーカーの生産性を向上させることが期待されています。
具体的な開発手法
ストックマークはフルスクラッチでAIモデルを構築すると発表しており、過去7年間にわたって蓄積したビジネスデータとデータクリーニング技術を活かす予定です。この技術的なアプローチにより、複雑なビジネスドキュメントを理解するためのデータセットである「Stockmark Business Document Questions」を構築し、従来の汎用モデルを上回る性能を達成することが狙いです。
また、このプロジェクトはGENIACプロジェクトとも連携しており、国内の生成AI開発を支援するための計算資源確保や補助金の提供が行われています。
展望と社会的意義
ストックマークのCTO、有馬幸介氏は、このマルチモーダルAIの実用化がビジネス現場の働き方を根本から変える可能性があると述べています。特に日本国内では、数多くのドキュメントが蓄積されており、それらを活用できるAIは日本経済の更なる成長に貢献できると考えています。
まとめ
今回のプロジェクトによって、ストックマークはビジネスシーンにおける生成AIの活用を次のステージへと進めようとしています。2024年5月には1,000億パラメータの日本語LLMが公開される予定であり、他の国内企業との協力も進めています。この動きが成功すれば、ビジネスの現場におけるAIの活用がさらに広がることが期待されます。ストックマークは、テクノロジーを通じて人々の働き方を形作る一助となるでしょう。