スタートアップのDEI改善を目指す重要な提言と今後の取り組み

スタートアップエコシステムにおけるDEI改善の提言

2024年5月、一般社団法人スタートアップエコシステム協会が「スタートアップエコシステムのDEI改善のための提言」を発表しました。この提言は、スタートアップ、ベンチャーキャピタル、アクセラレーターを含むスタートアップ関連業界において、Diversity（多様性）、Equity（公平性）、Inclusion（包摂性）、通称DEIの観点から、現状の課題を解決するための具体的な施策を示すものです。

DEIの重要性

日本政府は2022年にスタートアップ育成5カ年計画を策定し、起業家の増加やスタートアップの育成を目指しています。しかし、産業における多様な人材の活躍を促進する環境が整っていない限り、この目的は達成が難しいとされています。特定の属性に偏った人材が支配する業界では、他の属性の人材が競争に参加するのが困難です。これに対処するために、多様性が尊重される文化を育成し、少数派の人材が安心して活躍できる社会を実現する必要があります。

DEI改善に向けた勉強会の開催

同協会は、2024年1月から4回にわたり、有志による勉強会を実施しました。この勉強会では、多くの関係者がDEIに関する課題を議論し、潜在的なハラスメントの問題や、情報の分散、相談の窓口不足など、多様な問題を洗い出しました。特に、スモールビジネスであるスタートアップの特性が、ハラスメントや不公平を助長する可能性があることが指摘されました。

提言された施策

DEIの改善には、以下の具体的な施策が提言されています。
1. 行動規範・倫理規定の策定: スタートアップ業界全体での行動規範や倫理規定を策定し、遵守する方針を設定。
2. 研修の実施と評価: DEIに関連した研修プログラムを作成し、受講状況を公表することで透明性を確保。
3. 相談窓口の設置: ハラスメントなどのDEIを脅かす問題を相談できる中立的な窓口を設置。
4. リーダーシップの強化: 各組織のリーダーが、策定した規範の実施状況について責任を持つ。

これらのアクションを通じて、スタートアップ業界が多様性と包摂性を推進し、より健全なエコシステムをつくることが期待されます。