2024年第2四半期リテール市況レポートの要点
クッシュマン・アンド・ウェイクフィールド(C&W)が2024年第2四半期のリテール市況に関するレポートを発表しました。このレポートは、特に地方都市における新規出店と移転動向に焦点を当てています。
経済環境の概要
2024年第2四半期には、物価の高止まりが続く中でも、実質GDPは高水準の賃上げや自動車生産の回復により年率2.7%のプラス成長が見込まれています。具体的には、過去40年以上の最低水準となった実質為替相場や、前年から横ばいで推移する失業率が指摘されており、これらは消費者の購買意欲にも影響を及ぼしています。
小売販売の状況
全国の小売販売高は前年同期比2.8%の増加を見せており、特に耐久財の消費が好調でした。百貨店やドラッグストアの売上が伸びる中、外食分野は若干の減少が見られましたが、全体としては小売市場は堅調に推移しています。特に、名古屋の栄地区や京都四条では新たな大型商業施設の開業が進んでいます。
新たな出店・移転動向
訪日客数の回復により、京都と札幌のプライム賃料が上昇しました。都心部の賃料も上昇傾向にあり、特に銀座や新宿、池袋などでは賃料の上昇圧力が増しています。一方、神戸や仙台では依然として賃料がコロナ前の水準に戻っておらず、差が生じています。
消費者の動向と社会情勢
消費者態度指数は、年収別でバラつきが見られ、特に高所得層では消費に対するポジティブな見通しが続いています。これに対し、低所得層では実質賃金の減少が続いており、節約志向が強まっています。また、韓国のアパレルブランドが日本市場に進出するなど、海外ブランドの動きも見逃せません。
今後の展望
C&Wは、今後12ヶ月間の賃料見通しを「横ばい」に修正しました。これは、需要の減退や高インフレ環境の継続が影響しています。特に、プライムエリア以外では緩やかな賃料の低下が予想されています。 2030年までの間に都心部の大型開発が進行していく中、商業地域も大きく変わることでしょう。
結論
今回のレポートは、リテール市場が確実に変化していることを明示しています。特に地方都市では賃料の上昇や新規出店の動きが顕著で、インバウンド需要が今後の成長を支える重要な要素となるでしょう。
このレポートは、クッシュマン・アンド・ウェイクフィールドが提供する詳細な市場分析の一部であり、今後の市場動向を注視する上で非常に参考になります。