2024年度の堀場雅夫賞受賞者と授賞式の詳細
株式会社堀場製作所は、2024年度の「堀場雅夫賞」受賞者を発表しました。この賞は、分析・計測技術に関する研究を奨励するもので、受賞者には特に革新的な研究が評価されています。
2024年度のテーマは「水環境を健全に保ち、循環型社会の形成に貢献する分析・計測技術」で、国内外から25件の応募がありました。この中から、権威ある審査委員会による厳正な選考を経て、3名が堀場雅夫賞を、2名が特別賞を受賞することが決定しました。
受賞者とその研究内容
堀場雅夫賞
受賞研究: 「超解像赤外顕微鏡および超高速赤外分光法の開発」
この研究では、中赤外フォトサーマル顕微鏡を用いて、従来の技術では分析が難しかった1μm以下のナノプラスチックの計測が可能に。さらに、タイムストレッチ赤外分光法により、大量の化学データを短時間で収集する手法を確立しました。
受賞研究: 「ラボから湖へ:励起発光マトリックスの理論から実践への航海」
水質評価に重要な三次元励起蛍光スペクトル法を基にしたポータブルデバイスの開発に成功。水中の濁りを考慮したアルゴリズムを適用し、現場での迅速な水質測定を実現しました。
受賞研究: 「ウイルス定量法・濃縮法の新規開発に基づいた病原ウイルスの水道原水における存在実態及び浄水処理性の詳細把握」
光反応性色素とPCR法を組み合わせた新たなウイルス定量手法を開発し、浄水処理工程におけるウイルスの除去特性を詳細に評価する成果を上げました。
特別賞
受賞研究: 「画像・分光分析技術を応用したマイクロプラスチック連続モニタリングシステムの開発」
新たな計測手法により、海の表面だけでなく深海でもマイクロプラスチックの分布を調査する技術を確立しました。
- - Tania Louise Read氏(ウォーリック大学)
受賞研究: 「水環境や他の領域における主要分析対象を検出するためのホウ素ドープダイヤモンド電極の開発」
溶存酸素やpHを同時に高速モニタリングするセンサーを開発し、環境分析に大きく貢献する技術となっています。
授賞式の詳細
肝心の授賞式は2024年10月17日(木)に京都市内で開催されます。午前中には受賞記念セミナーが行われ、午後には正式な授賞式が行われる予定です。学術界と行政関係からの出席者が招かれ、受賞者の研究成果に光があたる機会となります。
堀場雅夫賞は、2003年に設立され、画期的な分析・計測技術の開発を支援することを目的としています。これまでの受賞者たちも多様な分野で顕著な成果を上げており、本賞の果たす役割はますます重要視されています。今後も持続可能な水環境を目指すための新たな技術開発に期待が寄せられています。
定義や技術用語の補足
本記事の中では多くの専門用語が登場します。例えば、マイクロプラスチックや赤外分光法などは、水環境保全において重要な技術や物質を指しています。これらの技術の進展は、私たちの水質を守るうえで必須です。
今後の技術革新が私たちの生活や環境にどのように影響を与えていくのか、目が離せません。