看護師国家試験の合格率下降、実践力強化が急務に

看護師国家試験の現状と課題

2025年2月16日に実施される第114回看護師国家試験に向けて、看護教育と臨床現場の変化に注目が集まっています。これまでに発表された調査結果によると、看護師国家試験の合格者数が3年連続で減少しており、2024年の合格率は87.8%と過去10年で最低の数字を記録しています。加えて、新卒看護師の離職率が10%を超えている状況も見逃せません。これは、看護業界が直面している深刻な課題を浮き彫りにしています。

合格率低下の背景

過去10年間を振り返ると、看護師国家試験では受験者数と合格者数が2022年から減少傾向にあります。この合格率の低下は、実務に即した教育が十分に行われていない可能性が指摘されています。看護教育に長く携わっている専門家によると、最近の学生は効率重視で学習しがちで、基礎的な知識や技術が不足している傾向があります。

これに対して、教育の現場では効果的な学習方法が模索されており、看護の質を向上させるための新たなアプローチが求められています。

新卒看護師の離職問題

看護職に新たに就職した看護師の約10%が、1年以内に離職しているというデータも注目されています。特に、「看護の実践能力への不安」という理由が最も多く挙げられ、この問題は新卒者が不安を感じる大きな要因となっています。コロナ禍以降、この離職率は上昇傾向にあり、2021年度以降は10%を超える状態が続いています。

看護業界全体が人手不足に直面している中、これらの高離職率はさらに深刻な問題を引き起こす可能性があります。

訪問看護の需要増加

少子高齢化が進む日本では、在宅医療がますます重要になっています。訪問看護は、2017年から2022年の間にその需要が急増しており、訪問看護師の数も約4.4万人から約10万人に増加しています。最近の調査によれば、訪問看護ステーションの求人倍率は4.18倍と、全看護職種の中でトップの数字です。しかし、訪問看護師として働いている割合は5.9%に過ぎません。

この需要に応じるためには、少なくとも2025年までに13万人の訪問看護師が必要とされていますが、現状では十分に人手が確保できていません。これは、国として今後解決すべき大きな課題と言えるでしょう。

eWeLLの取り組み

在宅医療のDX支援を行う株式会社eWeLLは、看護教育と臨床現場のギャップを埋めるための支援策を進めています。特に、訪問看護を中心にした実践能力の向上を目的としたプログラムを教育機関と協力して展開中です。

eWeLLでは「ひとを幸せにする」というミッションのもと、訪問看護向けの電子カルテシステム「iBow」など、医療従事者の業務効率を改善するサービスを提供しています。全国47都道府県で5万4千人以上の医療従事者が利用し、74万人の患者がその恩恵を受けています。