沖縄南部の消防本部がNSER mobileで医療を進化
2025年6月10日、沖縄県南部の4つの消防本部(糸満市、東部消防組合、島尻消防組合、豊見城市)が、TXP Medical株式会社が開発した救急医療情報システム「NSER mobile」の実証事業を開始します。このプロジェクトは、救急隊と医療機関の連携を強化し、地域全体の救急対応力を向上させることを目的としています。
背景の重要性
沖縄南部地区は、2024年の救急出動件数が16,613件に達する見込みです。これは、2022年の12,744件からの増加を示しており、地域の高齢化や観光客の増加などが影響していると考えられます。特に、搬送された患者の半数以上が軽症であることから、重症患者の対応が間に合わない事例が増加しています。
平均的な搬送時間は、全国平均の48.7分に対し、沖縄南部では48〜52分と長く、地域の救急医療体制には深刻な課題があります。これを受けて、軽症・重症対応病院の機能分化や「#7119」救急相談ダイヤルの活用推進など、様々な取り組みが行われてきました。
実証の概要
今回の実証事業には、以下の消防本部が参加します。
- - 糸満市消防本部(実搬送)
- - 東部消防組合消防本部(実搬送)
- - 島尻消防組合(デモ検証)
- - 豊見城市消防本部(デモ検証)
主な検証項目
- - 救急出動から病院決定までの時間短縮効果
- - 救急隊と医療機関間のリアルタイム情報連携
- - 医療機関内での情報受信と患者受入れの効率化
- - 統一システム運用による圏域全体の最適化
- - 現場での操作性、視認性、データ活用性の向上
- - 救急業務の負担軽減への貢献度
これにより、NSER mobileの導入がもたらす実際の効果を検証し、今後のシステム要件を精査することが重要です。
システムの特長
「NSER mobile」は、救急隊と病院間の従来の連絡方法をデジタル化し、業務の可視化と効率化を図るプラットフォームです。具体的には、事案情報の入力や患者の状況(病歴やバイタルサインなど)の共有が可能で、救急搬送から治療、転院までの過程を一元管理します。
さらに、同システムはEBPM(エビデンスに基づく政策立案)を推進するためのデータプラットフォームとして機能し、患者の安全を守るために全てのプロセスのデジタル化を目指しています。
TXP Medicalは、国際的な情報セキュリティ規格を取得しており、安心して運用できる医療インフラの構築に力を入れています。
今後の展望
実証事業の成果を基に、各消防本部や医療機関とのフィードバックをもとに本格的なシステムの導入を検討していく予定です。地域の救急医療体制がこの取り組みによって強化され、すべての市民が安心して生活できる社会の実現に寄与することが期待されます。