介護業界の人材継続支援に向けた取り組み
介護人材の早期離職は深刻な問題です。ミーカンパニー株式会社は、介護データベース「SCUEL(スクエル)」を活用して、職員の退職傾向と施設の特徴を照らし合わせ、離職リスクを事前に見極める方法を探索しました。本記事では、SCUEL分析から見えてきた三つの重要な兆しを紹介し、人材の定着に向けた具体的な対策を考えます。
介護業界の離職現状
介護分野では、毎年約15万人が離職しているとの調査結果があります。この現象は事業者にとって両大きな損失であり、特に“入職1年以内の早期離職”は採用・育成コストを無駄にし、現場の疲弊及び退職の連鎖を引き起こします。そのため、紹介・派遣会社にとっても離職リスクに対処することが、営業効率や信頼性の維持に直結します。
SCUEL分析が示す離職リスクの兆し
本分析では、施設で働く職員の経験年数、夜勤体制、加算の届出状況という三つの視点から短期離職の傾向を把握しました。以下、それぞれの兆しについて詳しく見ていきます。
1. 経験年数1年未満の多さ
まず注意すべきは、経験年数が1年未満の職員が多い施設です。データ分析から、新人職員が多いと退職者数も増える傾向が確認されました。しかし、これは単に新人が多いからではなく、教育体制やマネジメントに由来する構造的な問題が潜んでいる可能性があります。したがって、職場環境や新たに採用する人材へのフォロー体制を本格的に検討することが重要です。
2. 夜勤体制の状況
次に、夜勤体制についての分析がありました。夜勤に従事する職員数が多いほど、退職者も増加する傾向が見られました。夜勤は身体的負担や生活リズムの不安定さを引き起こし、結果として離職の要因になります。介護サービスの利用者にとって、夜勤体制の手厚さは安心感に繋がりますが、職員の負担軽減を同時に考える必要があります。特に都市部や大規模施設では夜勤体制が厚くなる傾向があるため、地域による差異を認識することも大切です。
3. 加算情報の活用
最後に、加算の取得状況も重要です。現在、加算があれば辞めやすいといった印象が広まっていますが、実際のデータでは、退職者数と加算の有無に明確な相関は見られません。しかし、各種加算情報を読み解くことで、職場の特性を把握しやすくなる点は見逃せません。スキルに合ったマッチングを行うためには、こうしたデータの理解が不可欠です。
定着支援に向けた次のステップ
このような解析から得られた情報は、今後の人材紹介や派遣業務において重要な指針となります。「辞めやすさ」を考慮するだけでなく、「合いそうな職場」を見極めるデータとして加算情報を活かし、より質の高いマッチングを実現するべきです。ミーカンパニーでは、介護業界向けに特別なパッケージを提供し、退職者数や職員の経験年数構成、夜勤体制などの詳細なデータも揃っています。
今後も、介護人材紹介の分野でのミスマッチを防ぐための取り組みが求められています。今回のSCUEL分析を基にしたホワイトペーパー『離職リスクを見える化する3つの視点』では、都道府県別のデータや具体的な数値比較が可能です。以下から無料でダウンロードできます。
みなさまがこの情報を基に、介護人材の定着支援に寄与できることを期待しています。データに基づく判断は、良好な職場環境を作るための第一歩と言えるでしょう。