最近、兼松株式会社は、出光興産、大阪ガス、Green Carbon、損害保険ジャパン、東邦ガス、芙蓉総合リース、三菱UFJ信託銀行の7社と共に、日本初の民間主導による水田JCMコンソーシアムを設立しました。これは、二国間クレジット制度(JCM)のもとで、水田から生成されるクレジットの普及を目指すもので、特にフィリピンにおいてAWD(間断かんがい技術)を活用したプロジェクトに焦点を当てています。
AWDとは、一定の期間水を落として土壌を乾燥させた後、再び水を張る技術で、これによってメタンガスの発生を抑制し、米の収量向上につながることが期待されています。この技術は、環境省と農林水産省からも注目されており、温室効果ガスの大幅な削減が見込まれています。
本コンソーシアムでは、各社がフィリピンで推進するAWDを通じて、米の収量がどの程度増加するか、また天候がAWDの実施にどのような影響を与えるかを分析し、パートナー国との農業分野におけるJCMの普及を図ります。これにより、関係する企業やステークホルダーとの連携を深め、持続的な農業の実現を目指しています。さらに、環境省や農林水産省がオブザーバーとして参加することで、政府との協働も強化されます。
政府の後押しを受けながら、民間企業主体のこの取り組みは、特にJCMの枠組みの中で、より多くの民間案件が形成されることを狙っています。新たに参加を希望する企業への門戸も広げており、今後参加者が増えることも見込まれています。
兼松はこのコンソーシアムに先立ち、Green Carbonと共同でフィリピン・ブキドノン州における水田由来のメタン排出量削減に関する技術の検証を既にスタート。これにより、プロジェクトの実現に向けて一歩を踏み出しました。
これまで以上に、環境問題に対する意識が高まる中で、こうした民間企業による環境改善のための取り組みは、各国の政府や企業が連携しながら進められることが求められています。このコンソーシアムを通じて、日本やパートナー国の農業分野におけるGHG排出量削減が加速することが期待されています。ぜひ、今後の展開に注目していきたいところです。