経営理念の浸透が生産性向上の鍵に
(公財)日本生産性本部が最近発表した調査によると、企業における経営理念の浸透が従業員のワークエンゲージメントや心理的安全性、生産性に影響を及ぼすという重要な結果が示されました。この調査結果は、昨今の「人的資本経営」による企業の成長戦略において、どのように人材の価値を最大限に引き出すかを考える上での指針となります。
調査の背景と目的
日本生産性本部は2023年2月4日に「上場企業の人的資本経営の浸透・従業員認知に関する調査(速報版)」を発表しました。この調査は、人材を「資本」として捉え、経営理念がどの程度従業員に受け入れられているのか、またその影響を探ることを目的としています。
調査対象は、国内の上場企業で働く25歳から64歳までの1,097人。この調査は、事業創造大学院大学の専門家の監修を受けて行われました。
経営理念の理解と浸透度
調査結果から、従業員が自社の経営理念を十分に理解していると答えたのは54.3%に留まっています。しかし、実際に「新入社員に自社の理念を説明できる」と回答したのはわずか40.2%、同様に「社外の人に説明できる」との回答も39.5%と低いことが明らかになりました。年齢別で見ると、55歳から64歳までの層で理念の浸透度が高かったものの、若い世代では浸透度に差は見られませんでした。
また、業種別に見ると、電気・ガス業や建設業では理念の浸透度が高い一方で、運輸業では低い傾向が見受けられました。
人的資本経営施策の受け止め方
調査は、人的資本経営施策の認知にバラツキがあることも示しました。例えば、経営トップのメッセージなど「マス対応」と呼ばれる施策について、肯定的に受け止めている従業員は約4割に止まりました。一方で「中立」と答えた従業員は3〜4割に達し、「否定的回答」も2割強という、意見が割れた結果が出ました。
対して、具体的な施策である「個別対応」に関しては、施策の種類によって肯定的回答の割合が3割から5割強まで幅があり、従業員の受け止め方に差があることが明らかになりました。
経営理念の浸透と生産性
重要なのは、経営理念の浸透と、従業員のワークエンゲージメントや心理的安全性、生産性との関連です。この調査では、経営理念が浸透しているとする従業員は、そうでない従業員に比べて約1.5倍も高いエンゲージメントを見せていることが分かりました。また、理念に対する理解が生産性を向上させる可能性も示されています。特に心理的安全性の面でも、理念の共有が職場環境において重要な役割を果たしていることが確認されました。
まとめ
この調査結果は、経営理念が企業文化や生産性にどれほど重要であるかを再確認させるものです。企業は、理念の浸透を図ることで、従業員の意識や働き方にポジティブな影響を与え、結果として企業全体の生産性向上につながると言えるでしょう。
公式な調査結果の詳細については、日本生産性本部のウェブサイトをご覧ください。