2023年、CoreTissue BioEngineering株式会社(CTBE社)が注目の治験を開始しました。この治験は、膝前十字靭帯の損傷を受けた患者を対象に、同社が開発した組織再生型靭帯であるCT-ACL001の安全性および有効性を評価するものです。
CTBE社は神奈川県横浜市に本社を構え、代表取締役は城倉洋二氏と和氣千明氏です。彼らの目指すのは、独自の脱細胞化技術を用いた医療機器の開発です。この治験に関して、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)への治験届が受理され、無作為化多施設共同試験の形で実施されることが決まりました。
CT-ACL001は、生体材料をベースにした医療機器で、患者自身の細胞が靭帯再生に寄与する仕組みを採用しています。この製品は、早稲田大学の岩﨑清隆教授が開発した技術に基づいており、厚い生体組織から効率よく細胞成分を除去するプロセスと、組織の力学的強度を保つための凍結乾燥・滅菌処理が特色です。この技術により、耐久性と生体親和性を同時に実現し、化学合成品では達成できなかった医療機器の開発が可能となりました。
日本国内では、年間約2万人が膝前十字靭帯再建術を受け、世界全体では80万人以上が対象とされています。現在の治療法では、健康なハムストリング腱や膝蓋腱を取り出して靭帯を再建しますが、この方法は患者に大きな負担をかけることが難点です。しかし、CT-ACL001が有効性と安全性を示せば、患者自身の組織を再生する新しい治療法として、医療現場に革新をもたらすことが期待されています。
治験は、2025年下期までに被験者登録を完了する計画です。また、国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(AMED)からも支援を受けており、医療研究開発の最前線で活躍しています。現在の医学の発展に伴い、再生医療が注目を浴びる中で、CTBE社の取り組みがどのように患者に寄与するか、今後の進展が期待されます。
■治験公開情報
- - jRCT(Japan Registry of Clinical Trials):臨床研究実施計画番号:jCRT2032240214
- - ClinicalTrials.gov(近日中に掲載予定)
CTBE社が目指す革新的な医療機器の実用化と、再生医療の未来に期待が高まります。