宇宙ベンチャーAstroXが東京オフィス開設!世界初の気球空中発射技術「ロックーン」の実用化へ
福島県南相馬市に本社を置く宇宙輸送技術の研究開発企業、AstroX株式会社が、2023年10月、東京都千代田区神田町に東京オフィスを開設しました。同社は、空中発射方式による衛星軌道投入ロケットを開発しており、今回の東京オフィス開設は、宇宙技術の研究開発とその商業応用を加速させるための新たな戦略の一環です。
AstroXは、福島本社、福島R&Dセンター、千葉R&Dセンターに続く4拠点目のオフィスとなります。東京オフィスには、技術開発部門、事業開発部門、経営企画部門などが設置され、顧客への迅速なサービス提供を実現していくとのことです。
新体制のリーダーシップと技術革新
今回の経営体制刷新に伴い、新たに最高技術責任者(CTO)に和田豊氏、執行役員に前村孝志氏が就任しました。
和田氏は、千葉工業大学宇宙輸送工学研究室の教授で、ロケット空中発射システムの研究にも携わってきました。気球からのロケット空中発射の実現を目指し、AstroXに参画しました。
前村氏は、H-IIAロケットの初代打上げ執行責任者を務めた、日本のロケット開発の第一人者です。長年の経験と知識を生かし、AstroXが開発を進める「ロックーン」システムの軌道修正役として、今後の事業展開を牽引していきます。
世界初!ハイブリッドロケットによるロックーン技術
AstroXは、世界初の気球空中発射技術である「ロックーン」技術の実用化に挑戦しています。ロックーンとは、気球でロケットを成層圏まで上昇させ、そこからロケットを発射する方式です。
同社は、液体ロケット、固体ロケットとほぼ同時期にコンセプトが誕生したハイブリッドロケットを採用しています。ハイブリッドロケットは、高い安全性と低コストを持ちながら、推力制御や消炎・再着火も可能であり、従来のロケットと比べてメリットが多いです。
和田CTOは、「ロックーン技術を極め、人類社会に新しい宇宙輸送技術をもたらし、世界文化に技術で貢献したい」と意気込みを語りました。
宇宙産業の急成長と日本の課題
世界の宇宙産業市場は急成長しており、2040年には約120~160兆円規模に達すると予測されています。特に人工衛星の需要は大きく伸びており、それに伴い小型衛星の打ち上げ需要も急増しています。
しかし、現状では日本のロケット開発は遅れをとっており、国内の小型衛星のほとんどが海外のロケットで打ち上げられています。AstroXは、この問題を解決するために、ロックーン方式による高頻度、低価格での打ち上げを実現するべく、研究開発サービス展開に取り組んでいます。
今後の展望
AstroXは、新たな経営体制と革新的な技術を武器に、宇宙産業の課題解決に貢献していきます。同社の今後の活動に注目です。