川本幸民のビールを現代技術で復刻するプロジェクト開始

日本初のビール醸造家、川本幸民の復刻プロジェクト

日本のクラフトビール文化を広める株式会社クラフトビールインクは、「Japan Craft Beer Movement」というプロジェクトの一環として、幕末の化学者、川本幸民が残したビール醸造の記録をもとにした復刻ビールの製造を発表しました。このプロジェクトは、川本が1830年代にオランダの科学書を翻訳して得た知識を活用し、日本で初めてビールを醸造した歴史的背景に光を当てたものです。

川本幸民は江戸時代後期に活躍した化学者であり、自らビール醸造を実践した記録が残されています。特に、1853年に著作した『化学新書』の中に記された上泡醸法と下泡醸法は、彼のビール製造における重要な成果とされています。川本の探求心と創造力が、今のクラフトビール文化の基礎を築いたと言えるでしょう。

川本幸民ビール復刻プロジェクトの取り組み

この復刻プロジェクトでは、川本の遺した記録を詳しく研究し、当時の原料や製造環境を再現することを目指しています。単に昔の方法を取り入れるのではなく、現代の醸造技術を使って川本の思考を具現化し、飲むことで歴史を感じられるビールを作り出すことが意図されています。

このプロジェクトはまた、オープンな文化活動として進めます。現在、クラフトビールインクは、他のブルワリーや企業、団体との協力を広く募集しており、共にこのビール文化の原点を作っていく仲間を歓迎しています。プロジェクトの進行に伴い、得られた成果やレシピについても公開し、川本が大切にしていた「知の共有」の理念を受け継いでいく所存です。

代表のメッセージ

株式会社クラフトビールインクの代表取締役、田中悟志氏は「川本幸民の探求心や創造力は、当今のクラフトビール文化にも深く響いています。彼の知恵と情熱を現代に再現し、飲むことでその歴史を感じていただきたい。この挑戦を未来へとつなげていきたい」と語ります。

プロジェクトの未来

この「川本幸民ビール復刻プロジェクト」は、「Japan Craft Beer Movement」の序章に過ぎません。今後、川本の理念を受け継ぎながら、日本各地の文化や歴史をテーマにしたビールづくりの企画を進めていく計画です。ビールを通じて「文化」「科学」「創造」を結びつけ、日本のクラフトビールの可能性を全球的に発信していくことを目指しています。