アレルギー治療の新展開
2026-04-09 10:19:16

慢性アレルギー治療の新たな突破口、炎症記憶T細胞の研究

新たなアレルギー治療法の可能性



千葉大学大学院医学研究院の研究チームが、慢性アレルギー疾患の新たな治療法の基盤となる重要な知見を発表しました。この研究では、組織常在性記憶CD4⁺ T細胞(CD4⁺ TRM細胞)の臓器内での挙動が、特定の細胞表面分子であるCD69によって調節されていることが明らかにされました。

研究の重要性


TRM細胞は、皮膚や肺、腸などの末梢臓器に長期間とどまり、病原体に対する記憶を保持しています。しかし、アレルギーや自己免疫疾患の発症に関与することがあるこの細胞の動態は、これまで十分に理解されていませんでした。今回の研究は、TRM細胞が炎症を引き起こす性質を保持しつつ体内で経路を変更するという新たな事実を示唆しています。

研究成果のポイント


研究チームは、喘息のモデルマウスと人間の患者検体を基に、以下の重要なポイントを確認しました:

1. CD69の役割: CD69がS1PR1という受容体の機能を抑えることで、CD4⁺ TRM細胞を臓器内部に留まらせる役割を担っています。これにより、細胞は炎症組織での記憶を維持することになります。
2. 元TRM細胞の発見: CD69の発現が減少すると、TRM細胞が血液中に移動し、元TRM細胞として循環することが確認されました。
3. 炎症反応の促進: これらの元TRM細胞は、元いた組織での「炎症を引き起こしやすい性質」を記憶として保持しており、他の組織で強い炎症反応を引き起こしやすいことが明らかになりました。
4. 慢性炎症疾患との関連: 慢性炎症を持つ患者の血液中において、特異的な細胞表面分子を持つ元TRM細胞が同定されています。

未来の展望


研究者たちは、この知見が成長期におけるアレルギー疾患の多様な発症、いわゆるアレルギーマーチや、同一患者内で複数のアレルギー疾患が併発するメカニズムの解明に寄与すると考えています。また、血液中の元TRM細胞に特有のタンパク質であるGPR183およびCD161をターゲットにした新しい治療法の開発も期待されています。

結論


慢性アレルギー疾患に対する新たな治療法の開発に向けて、組織常在性T細胞の炎症記憶に関する今回の研究成果は大きな前進です。これによって、アレルギー患者にとってより効果的な治療法が確立されることが期待されます。今後の研究とその応用に注目が集まるでしょう。


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