産業医面談に寄せられた従業員の関心と懸念点を調査
近年、企業の健康経営が注目される中、産業医面談に対する従業員の関心や懸念点が浮き彫りになっています。2024年10月22日から26日まで、10代から60代までの408名の男女を対象にしたインターネット調査を通じて、産業医面談の活用状況や認知度、利用時の不安要素について探りました。
調査の概要と目的
産業医は、従業員の健康を守るために重要な役割を果たしていますが、実際に産業医面談を利用している従業員はどの程度いるのでしょうか。調査の目的は、産業医面談に対する従業員の意識を把握し、今後の健康経営施策に生かすための基礎データを収集することでした。
調査結果の詳細
面談の利用状況
最初の質問である「産業医による面談を利用したことがありますか?」では、4割近くの134名が「はい」と回答。しかし、176名は「会社に制度がない」と答え、制度自体の存在を知らないという意見も多くみられました。
産業医面談の期待される効果
産業医の面談について、「どのような効果やメリットがあると思いますか?」と尋ねたところ、234名が「労働者の健康促進」と回答。他には「職業病の予防」や「安全性の向上」といった意見もあり、健康管理の重要性が再認識される結果となりました。
関心度と利用意向
次に、「産業医との面談についてどのくらい関心がありますか?」の質問では、176名が「機会があれば自ら利用したい」とし、より積極的に利用したいと考えている人も77名いました。しかし、あまり関心がないと答えた従業員も一定数存在しており、関心の高さにはばらつきが見受けられました。
利用時の不安要素
面談の活用に対する不安点としては、「職場への影響」が162名、「キャリアへの影響」が185名と、職場環境に対する懸念が多く寄せられました。また、個人情報の保護に対する不安を感じている人もいます。従業員が安心して利用できる環境づくりが急務であることが示されています。
利用を促進するための支援
利用を促進する支援策としては、「メールや電話、チャットなどでの相談窓口」が364名も支持しました。具体的にどのような情報が提供されれば有効かを尋ねたところ、産業医面談のメリットや個人情報の取り扱いについて明確な情報提供が必要だと感じている人が多いことが改めてわかりました。
健康経営の認知度
「健康経営」という言葉知っていますか?という問に対して、263名が「知らなかった」と回答し、認知度は低い結果となりました。健康経営のプログラムに関しては、ストレスマネジメントや働き方改善に興味を示す声が多く、今後の啓発活動が重要です。
調査からの教訓
これらの結果から、産業医面談の導入が従業員の健康に資することが期待される一方で、制度の存在やそのメリットについての情報提供が不足していることが明らかになりました。企業は、従業員が安心して利用できる環境を整備し、制度の認知度を高めるための施策を積極的に行うべきです。産業医面談がより多くの従業員に利用されることで、全体の健康レベル向上へとつながる期待が高まっています。