ナトリウム電池の革新
2024-11-06 14:08:15

機械学習を利用したナトリウムイオン電池の性能向上技術

機械学習によるナトリウムイオン電池の革新



東京理科大学の研究者たちが、ナトリウムイオン電池(Sodium-Ion Battery, SIB)用の新しい材料を発見したことで、次世代の電池開発が加速しています。本研究は、機械学習(ML)を用いて、ナトリウムイオン電池の正極材料の性能を予測し、その機能を実証したものです。

研究の背景


近年、再生可能エネルギーの導入が進む中、エネルギー貯蔵のニーズが高まっています。現在主流のリチウムイオン電池(Lithium-Ion Battery, LIB)は高いエネルギー密度を持つものの、原素材であるリチウムが限られた資源であるため、供給とコストの面で課題があります。このため、豊富に存在するナトリウムを用いたナトリウムイオン電池が注目されています。

研究のアプローチ


東京理科大学の機械学習モデルは、これまでに蓄積された約100サンプルのデータベースを基に、ナトリウム含有遷移金属層状酸化物の材料特性を予測しました。今回取り上げられたのは、Na[Mn0.36Ni0.44Ti0.15Fe0.05]O2 (MNTF)という新材料で、549 Wh/kgという高エネルギー密度を示す性能を持っています。

公式な実証


研究チームはMNTFを合成し、初期放電容量169 mAh/g、平均放電電圧3.22 Vを実測。これらの値は、機械学習による予測と非常に良い一致を見せ、MLモデルの信頼性が確認されました。この高いエネルギー密度は、部品の小型化や軽量化に寄与し、特に電気自動車や大型蓄電池への適用が期待されます。

将来的な展望


この研究は、材料開発の効率化とコスト削減に貢献することが期待されており、さらなる性能向上が見込まれています。特に、充放電反応に伴う結晶構造の変化を考慮することで、さらなる電池性能の向上も視野に入れているとのことです。

今後は、研究成果をもとに長寿命で高容量を実現したナトリウムイオン電池が商業化されることで、より実用的なエネルギーソリューションとしての期待が寄せられています。

研究者のコメント


本プロジェクトを主導した保坂知宙助教は、研究を通じてデータと情報科学の統合が重要であることを強調し、「この成果は、製品開発の迅速化やコスト効果をもたらし、将来的にはSIBの電極材料の高性能化を導くと信じています」と述べました。また、他の材料系における応用も視野に入れ、さらに研究を進展させていく意向を示しています。

結論


今回の研究成果は、ナトリウムイオン電池の未来におけるさらなる発展の一端を担っており、持続可能なエネルギー利用に向けた重要な一歩といえるでしょう。


画像1

画像2

会社情報

会社名
学校法人東京理科大学
住所
東京都新宿区神楽坂1-3
電話番号
03-3260-4271

トピックス(科学)

【記事の利用について】

タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。

【リンクついて】

リンクフリーです。