株式会社サンラインの大気圧プラズマ技術
山口県岩国市に本社を構える株式会社サンラインが展開する新たな大気圧プラズマ技術に注目が集まっています。釣糸などの製造・販売を手掛ける同社が開発したこの技術は、環境保護への強力なアプローチとして期待されています。
PFAS問題の背景
有機フッ素化合物(PFAS)は、さまざまな工業用途に使用されている物質ですが、その環境への影響が懸念されています。PFASは水や土壌に残留しやすく、人体に対する健康リスクもあるため、分解や処理が求められています。しかし、この化合物は強固な炭素-フッ素結合を持ち、通常の方法での分解が非常に困難です。 PFASを含む廃棄物の処理には、1,100℃以上の高温が必要とされることから、大規模な焼却処理が主流となっていました。
新技術の概要
サンラインが開発した新しい技術は、大気圧プラズマを用いてPFASを超高速で分解します。具体的には、空気を基に生成したプラズマをPFASが溶解している水に照射する方法です。実験では、PFASの一種であるPFOA(ペルフルオロオクタン酸)を含む水溶液を30分間処理することで、99%の分解率を達成しました。処理前のPFOA濃度は5,000μg/Lであったものが、処理後には39μg/Lにまで減少。これは非常に優れた結果です。
この技術の大きな利点は、大気圧下で空気を使用してプラズマを安定的に生成できる点です。従来の方法では必要だった真空設備や希ガスが不要で、ランニングコストを大幅に削減できます。また、125Whの消費電力で作動するため、家庭用コンセントの100Vでも動作可能になりました。
事業展開のビジョン
サンラインはこの技術を活かし、PFAS分解に関する技術コンサルティングにも乗り出します。このコンサルティングサービスは、PFASのプラズマ分解に関する分析や、装置の特注製作、導入支援などを含んでいます。研究機関や企業がこの技術を用いることで、PFAS関連の研究開発が進むことが期待されています。
県の補助金活用
この革新的な技術は、山口県の「令和6年度やまぐち産業イノベーション加速化補助金[カタパルト]」を使って事業化されました。地域の補助金を活用することで、技術の実用化が加速されています。
会社情報
株式会社サンラインは1977年に設立され、レジャー用釣り糸や水産業用の業務用釣り糸の製造・販売を行っています。また、プラズマ技術の開発も手がけるなど、幅広い分野で活動しています。社長の梶尾延行氏のもと、環境に対する取り組みを強化しています。
公式サイト:
サンライン
特殊技術に関する詳細:
プラスタス事業サイト
私たちは、環境問題解決のために新しい技術やアイデアに注目し続けることで、よりよい未来を築いていく必要があります。サンラインの技術革新が、その一助となることを期待しています。