概要
株式会社豊田中央研究所は、車載用リチウムイオン二次電池(LiB)の普及が進む中、リユースやリサイクルを促進しもって持続可能な循環型社会を目指す「電池循環システム」プロジェクトの研究を進めています。近年、同社はその研究の一環として、LiBのライフサイクル全体での二酸化炭素(CO2)排出量を定量的に評価する新たな手法を提案しました。この手法は、リユースおよびリサイクルによるCO2削減効果を統合的に評価するもので、LiBを中心とした循環型社会の計画や要素技術の発展に大きく寄与すると考えられています。
研究の背景
近年、自動車の電動化と再生可能エネルギー設備の導入が進む中で、LiBの需要は急激に増加しています。新規にLiBを製造する際の資源消費やCO2排出を抑えられる可能性があるリユースおよびリサイクル技術の開発が、世界中で注目されています。同社は、廃棄されたリチウムイオン電池を無駄なく活用することで、環境負荷を削減する「SWEEP SYSTEM®」や、使用済みLiBの状態を診断する「MaMoRiS®」など、様々な技術を開発しています。
提案された新しい手法の特徴
豊田中央研究所が提案したLCA(ライフサイクルアセスメント)手法は、ケ氏が製品生涯の各工程におけるCO2排出量を詳細に評価し、リユースとリサイクルの効果を明確に分析するものです。これにより、異なる技術間での比較が可能となり、より正確にCO2削減の効果を定量化できます。例えば、リサイクルに際して新しい電極材回収技術のCO2削減効果を評価する際、従来技術と新技術の違いを明確にすることができ、技術の改善に繋がることが期待されます。
今後の展望
LiBの循環型社会実現に向けては、各要素技術の開発だけでなく、社会システム全体の設計が必要です。この新たに提案された手法を活用することで、大学や研究機関との連携を深め、LiBのリユースおよびリサイクルに関する議論をさらに進めていく予定です。豊田中央研究所は、これからも革新的なリユースおよびリサイクル技術の研究と共に、評価技術の開発に取り組み、持続可能な循環型社会の実現に寄与していきます。
参考情報
本研究成果は、Elsevierの「Journal of Power Sources」に掲載されています。詳細な情報は以下のリンクから確認できます。