神経疾患治療研究
2024-08-08 12:27:32

京都大学とセルプロジャパンが神経疾患治療に向けた共同研究を開始

京都大学とセルプロジャパンが神経疾患治療に向けた共同研究を開始



2024年8月8日、京都大学iPS細胞研究所(CiRA)とセルプロジャパン株式会社は、神経疾患における脳機能の改善を目指した新たな治療法の開発に向けて共同研究契約を締結しました。この報告をもとに、今後の研究成果がどのように期待されるのかを見ていきましょう。

共同研究の背景


CiRAの高橋淳研究室では、iPS細胞から多様な神経細胞を作り出し、育成する独自の技術を積み上げています。これに対してセルプロジャパンは、ヒト幹細胞由来の生理活性物質を医薬品に応用することを目指しており、この二つの研究所の技術を組み合わせることで、新しい神経疾患の治療法の確立を目指します。

近年、ヒト幹細胞由来の生理活性物質に関する研究は盛んで、上清液やエクソソームの利用が注目されています。これらの成分は数千に及び、その組み合わせや濃度を工夫することで神経疾患に対する多面的な治療が可能になる期待があります。今後は、細胞からどのような生理活性物質が分泌され、それが機能的にどう作用するのかを明らかにすることが不可欠です。

神経疾患へのアプローチ


人間の脳は数千億個の細胞から成り立っており、神経疾患の患者では、その複雑な構造が障害されることがよくあります。そのため、一つの細胞種だけでなく、複数の細胞から得られる有効成分による網羅的なアプローチが検討されています。

今回の共同研究では、様々な細胞から分泌される生理活性物質を評価し、病態モデルを用いてその安全性や有効性を検証します。これらの基礎研究から得た成果を元に、将来的には認知症などの新しい治療薬の開発を視野に入れています。

認知症患者数の推移


国内の認知症患者数は2030年には約523万人、2050年には約587万人に達する見込みです。また、世界的にも認知症患者数は増加し続け、2050年には約1億3,900万人に達すると予測されています。このような背景から、早急な治療法の開発は急務です。

認知症に関連する医療費は2019年時点で年間約1.3兆米ドルと試算されており、2030年までにはこれが1.7兆米ドルに増加し、さらに2060年には年間約2.8兆米ドルに達する可能性があります。日本においても、認知症に関連する社会的なコストは年間約14.5兆円に上るとされています。これは、今後の高齢化社会においてますます重要な課題となるでしょう。

結論


この共同研究は、神経疾患治療の新たな地平を開く鍵となることが期待されます。セルプロジャパンとCiRAの両者が持つ先端技術を駆使して、認知症を含む神経疾患の効果的な治療法が開発されることを、今後の進展と共に見守りたいと思います。実際の治療法としての実用化はまだ先のことかもしれませんが、研究が進むことで一歩ずつ前進することでしょう。


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会社情報

会社名
株式会社Waqoo
住所
世田谷区上馬2-14-1横溝ビル4階
電話番号
03-6805-4600

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