100年以上続く老舗企業が次々と倒産…その背景に迫る
長年地域社会に根ざし、信頼と実績を積み重ねてきた老舗企業。しかし、近年その安定感が揺らいでいることを示すように、創業から100年以上続く老舗企業の倒産が急増しています。2024年上半期(1~6月)には、過去最多となる74件の老舗企業が倒産したことが明らかになりました。これは前年同期比で約2倍の増加で、日本の老舗企業の現状を物語っています。
日本の老舗企業は4万社以上存在し、毎年約2000社が100年経営企業の仲間入りを果たしています。世界でも類を見ない老舗大国である日本ですが、近年は経済情勢の激変や消費者の変化、そしてコロナ禍の影響などが重なり、老舗企業も例外なく厳しい経営状況に置かれています。
老舗企業の倒産、その要因とは?
2024年上半期の老舗企業倒産の内訳を見ると、製造業が22件で最も多く、続いて小売業が21件と、伝統的な産業における苦境が浮き彫りになっています。具体的な業種としては、清酒製造、生菓子製造、水産加工、味噌、野菜漬物、スーパーマーケット、呉服・服地小売、百貨店などが挙げられます。これらの業種は、長年培ってきた技術や伝統を守りながらも、時代の変化に対応することが求められています。
しかし、変化への対応が遅れる、あるいは新たな顧客を獲得することが難しいなど、様々な要因が重なり、倒産に至るケースが多いようです。
「安泰」のイメージは過去のもの?コンプライアンス違反も増加
近年では、長年安定経営を続けてきた老舗企業が、コンプライアンス違反によって倒産するケースも増えています。例えば、2023年9月には創業150年の医療・理化学器械メーカーが、20年以上にわたる粉飾決算が発覚し、民事再生法の適用を申請しました。また、繊維織物メーカーでは、雇用調整助成金の不正受給などが発覚し、会社更生法の適用を申請しています。
長年の歴史は、信頼の証である一方で、企業の内部管理体制やコンプライアンス意識の低下、不正行為などのリスクも孕んでいることを忘れてはなりません。
今後も厳しい経営環境が続く見通し
2024年の企業倒産件数は、すでに前年を上回るペースで増加しており、1万件を突破する可能性も指摘されています。中小企業の多くを占める老舗企業は、今後さらに厳しい経営環境に置かれると予想されます。
老舗企業の多くは、地域経済の活性化や伝統文化の継承に重要な役割を担っています。そのため、老舗企業の経営難は、社会全体にとって大きな課題と言えます。今後、老舗企業が生き残っていくためには、時代の変化に対応した経営革新や、事業の多角化、人材育成などが求められます。