量子安全通信の革新:QNS Servicesと東芝がPoCに成功
2023年、QNS Services株式会社は、株式会社東芝との協力により、量子安全通信に関する概念実証(PoC)を成功裏に実施しました。この実証は、情報理論的安全性と高可用性を兼ね備えた冗長型の通信手法を構築し、企業ネットワークにおける新たなセキュリティのスタンダードを示すものとなりました。
PoCの実施内容
今回のPoCでは、2つの拠点を想定し、主回線には東芝製の量子鍵配送(QKD)システムを、副回線にはQuantum Bridgeが開発したDSKE(Distributed Symmetric Key Establishment)を採用しました。この結合により、堅牢かつ柔軟な鍵交換システムが実現されました。
特に注目すべきは、災害時の回線断絶を想定した冗長構成のテストで、主回線の障害が発生した際、迅速に副回線へ切り替えることができることが確認されました。エンタープライズルータを使用し、SKIP APIによる鍵管理の連携が機能し、通信セッションの継続が可能であることが示されました。
冗長性と継続性の実証
この実証を通じて、QNS Servicesは、異なる方式と経路を組み合わせた冗長通信において、情報理論的安全性を確保しつつ、途切れることのない通信環境を実現できることを示しました。実際に、30GBの大容量データを転送する際に意図的に回線を遮断した場合でも、通信を継続し、転送を完了することができました。
専門家のコメント
東芝ICTソリューション事業部のQKD事業推進室長、武田禎晴氏は、「QNS Servicesによる今回のPoCは、災害時においても企業ネットワークの通信可用性を高める手段として重要です。情報理論的安全性を有する鍵配送技術を統合した冗長構成の有効性が証明されたことに意義があります」と述べています。
今後の展望
QNS Servicesは、この実証から得た知見をもとに、近い将来、金融や公共、医療分野向けに高安全性の冗長型量子安全通信ソリューションを展開する計画です。2026年の提供開始を目指して、国内だけでなく、離島や海外拠点における多様なネットワーク環境でも情報理論的安全性を維持した通信基盤の構築を支援していく方針です。
企業概要
耐量子暗号通信に特化したソリューションプロバイダーで、日本国内におけるQuantum Bridge Technologies, Inc.の総代理店として、セキュリティソリューションの導入やシステムインテグレーションを支援します。
1999年から量子鍵配送の研究を行い、先進技術の開発とともにパートナーとの共同実証を進め、量子セキュアコミュニケーションの実用化に向けた取り組みを続けています。