日本企業の外国人材採用、日本語スキルとインバウンド・投資がカギ
株式会社グローバルパワーが運営する、外国人向けの就職・転職情報サイト「NINJA」による調査で、日本企業における外国人材の採用トレンドが明らかになりました。
調査によると、日本語ビジネスレベル以上の外国人材が登録する「NINJA」の会員41,619名と、292社の企業の求人情報から、言語別採用ニーズと人気の高い国・地域の人材について分析されました。
日本語スキルが最優先、その他の言語は求人ニーズと採用実態に乖離
調査結果では、外国人材の採用において日本語スキルが最重要であることが改めて示されました。求人情報の94.2%が日本語ビジネスレベル以上を必須としており、実際に採用された人材の92%が日本語ビジネスレベル以上という結果に。
一方、英語や中国語などの他の言語については、求人ニーズと採用実態に乖離が見られました。求人では英語ビジネスレベル以上が24.2%、中国語が10.8%と求められていますが、実際に採用された人材では、これらの言語レベルは求人ニーズほど高くありませんでした。
インバウンド需要と対外投資が人気の国・地域を左右
調査では、国・地域別の採用傾向も注目されています。中国語圏では、中国(標準語)の登録者は全体の29.3%と多いものの、採用に至った割合は18.3%と低くなっています。
対照的に、台湾(繁体字)と香港(広東語)の登録者は、登録者数と採用者数の割合がほぼ一致しています。この理由として、以下の2点が考えられます。
1.
英語力: 台湾や香港の人材は、中国の人材と比べて英語力が高い傾向があり、英語を求める求人に有利に働いている可能性があります。
2.
経済関係: 日本企業の対外投資やインバウンド観光客の動向が、採用に影響を与えている可能性があります。
コロナ禍の影響で、中国からの観光客は大幅に減少した一方で、台湾や香港からの観光客は回復し、2019年を上回る勢いです。また、日本企業の対外投資においても、中国への投資は減少傾向にある一方で、ASEAN諸国への投資が増加しています。
今後の外国人材採用は、多様なニーズに対応する必要
調査結果から、日本企業が外国人材を採用する際に、日本語スキルに加えて、インバウンド需要や対外投資といった経済状況も考慮する必要があることがわかります。
今後、人手不足が深刻化する中で、外国人材の採用はますます重要になります。企業は、日本語スキルだけでなく、多様な言語や文化背景を持つ人材に対して、柔軟な対応が必要となるでしょう。