夏季特別展「もののふの備え甲冑の美学 / 馬とともに」
名古屋市に位置する徳川美術館では、2024年の夏季特別展「もののふの備え甲冑の美学 / 馬とともに」が7月27日から9月16日まで開催されます。この展示は、日本の甲冑や馬に関連する歴史的および美術的な側面を深く掘り下げることを目的としています。
日本の甲冑の美しさ
日本の甲冑は、他国の武具と一線を画す独特な美を持っています。特に平安時代に登場した大鎧は、戦闘用の武具であるにもかかわらず、王朝装束の影響を受けた華やかな装飾が施されています。赤や緑の威糸を使った美しい色彩が特徴で、まるで芸術品のようです。
戦国時代においては、徒歩戦用の機能性が求められ、甲冑の構造はシンプルになりましたが、同時に戦場での目立つ特性や武運を祈るための個性的なデザインも取り入れられました。本展では、これら日本の甲冑の美しさを紹介し、江戸時代以降の復古や考証についても焦点を当てます。
展示される作品には、尾張家初代の徳川義直が使用した朱塗啄木糸威具足や、徳川家康所用の黒塗桐紋鞍・鐙など、歴史的価値の高い品々が並びます。
馬と武士の関係
さらに、この展覧会では「馬とともに」のテーマにもスポットを当てており、古来より馬は日本の生活や文化に深く浸透しています。特に中世の武士社会においては、軍馬が重要な役割を果たしました。戦いにおいて「兵馬の権」を持つことは、武士の身分を象徴する要素であり、馬を扱う技術は武士に求められる基本的な嗜みでした。
展示では、馬具や工芸品、絵画などを通じて、武家社会と馬の深い関わりを掘り下げていきます。馬の美しさと武士の文化がいかに結びついていたかを再考する機会となるでしょう。
特別な関連企画
展覧会に併せて、記念講演会も予定されています。講師には東京国立博物館の佐藤寛介氏を迎え、「日本甲冑の特質-機能性・装飾性・象徴性-」というテーマで講演を行います。こちらはすでに定員に達しているようですが、興味のある方は次回の開催をお見逃しなく。
さらに、夏休みに合わせた子ども向け企画も開催され、小中学生対象にスタンプラリーやクイズを通じて、展覧会を楽しむ催しがあります。親子で参加し、楽しみながら学ぶ機会になることでしょう。
展示情報
会期は2024年7月27日から9月16日までで、展示は前期と後期に分かれています。平日は比較的混雑が少ないため、じっくりと鑑賞したい方にはおすすめです。尚、入館には一部料金が必要ですが、特定の曜日には無料で観覧可能です。
名古屋市内を訪れた際には、ぜひ徳川美術館に足を運び、日本の美術や歴史を触れる貴重な体験をしてみてください。