就職人気企業ランキングの変化
株式会社学情が発表した就職人気企業ランキングは、コロナの影響により著しい変わり様を見せています。コロナ以前の2019年調査では、旅行業界が上位を独占していましたが、パンデミックによってどのような変化があったのでしょうか?ここでは、過去数年のデータをもとに就職人気企業の変遷を詳しく見ていきます。
トップは伊藤忠商事
2023年のランキングでも一貫してトップに君臨するのが伊藤忠商事です。同社は2018年の調査から7年連続で首位を獲得しており、他の企業との差が際立っています。なぜ伊藤忠商事が学生からこれほど支持を受けているのか?その理由の一つには、非資源分野の強さがあります。具体的にはアパレルやファミリーマートなど、学生にとって親しみやすい業界での成功が影響しています。特に、資源価格の低迷に悩まされる中で唯一増益を達成していることが、若者にとっての安心感を生んでいます。
コロナ前の旅行業界
2019年調査では、2位に位置したのはJTBグループで、その後エイチ・アイ・エス(H.I.S.)、オリエンタルランドと続き、トップ10に多くの旅行関連企業がランクインしていました。このデータからは、就職の人気が「商社」や「食品」と並んで「旅行」や「レジャー」業界に支持されていたことが明らかです。これまでの求職者にとって夢のある業界であったことがうかがえます。
食品業界の台頭
しかし、2020年以降は事態が一変します。コロナ禍において、企業の人気が「食品」業界に移り、2020年の調査では2位に味の素、3位にアサヒ飲料、8位にロッテと入るなど、食品関連企業がトップ10に3社登場します。また、コロナによる「巣ごもり消費」が好調だったイオングループも順位を60以上上げて10位に入るなど、食品業界が活況を呈しました。
エンタメの革新
2021年調査では、エンターテインメントの領域における企業、特に講談社や集英社、任天堂が注目されるようになりました。コロナの影響で自宅での趣味にこだわる人が増えたことが、これらの企業の順位上昇に寄与したと考えられます。自宅で楽しめるエンタメが人々の需要を満たし、就職人気も高まったのです。
デジタルコンテンツの時代
その後、2022年に入ると「デジタルコンテンツ」関連企業が人気を博するようになり、任天堂や講談社が再びランクを上げました。2023年には、出版社関連企業がトップ10に4社入り、デジタルネイティブ世代である学生からの圧倒的な支持を受けています。
特に、電子コミックや動画、ゲームが重要な要素となり、デジタルコンテンツの年とも言えるこの流れは、今後の就職活動にも影響を与えることでしょう。
調査の詳細
この調査は、2024年まで続く予定で、学情によるスカウト型就職サイト「あさがくナビ」を通じて、全国の大学生や院生に対して実施されています。毎年多くの学生が参加し、有効回答数も常に高い水準を維持しています。今後の調査結果も注目されます。
このように、コロナ前後の就職人気企業ランキングは、社会の変化や学生のニーズを敏感に反映しています。今後、どのような企業が人気を博すのか、引き続き注視していく必要があります。