摂南大学、脂肪細胞の分子ネットワークを解明！AIで新たな薬剤開発に期待！

摂南大学、脂肪細胞の分子ネットワークを地図に！AIで新たな薬剤開発に期待！

摂南大学農学部の研究グループは、脂肪細胞の分子ネットワークを解明する画期的な技術を開発しました。この技術は、たんぱく質間相互作用を高速かつ網羅的に解析することが可能で、AIとの組み合わせにより、新たな薬剤の開発や高精度な予防医学に貢献すると期待されています。

新技術「ハロマス」で脂肪細胞の秘密を解き明かす

研究グループは、独自開発した「ハロマス（HaloMS法）」と呼ばれる技術を用いて、ヒト脂肪細胞におけるたんぱく質間相互作用を網羅的に解析しました。ハロマスは、結合タグたんぱく質であるハロタグと高深度質量分析、AIを組み合わせることで、従来の方法に比べて100倍のスループットを実現。これにより、これまで困難だった多数のたんぱく質間の相互作用を効率的に明らかにすることが可能になりました。

AI「AlphaFold Multimer」で解析精度を向上

さらに、研究グループはAI「AlphaFold Multimer」を用いることで、解析の精度を向上させました。AlphaFold Multimerは、たんぱく質複合体の構造を予測するAIで、ハロマスで得られたデータの解析に活用されました。その結果、脂肪細胞における1000ペア以上のたんぱく質間相互作用が発見され、脂肪細胞の分子ネットワークがどのように統合されているのかを詳細に示す「地図」が作成されました。

医療プロテオミクス研究への貢献

本研究成果は、医療プロテオミクス研究に大きな影響を与えることが期待されています。脂肪細胞における分子ネットワークの理解は、肥満や糖尿病などの生活習慣病の予防や治療に役立つだけでなく、新しい薬剤標的の発見にもつながると期待されています。

研究の詳細

本研究成果は、2024年5月29日付の英国科学雑誌『Biology Methods and Protocols』に掲載されました。

論文名: Mapping adipocyte interactome networks by HaloTag-enrichment–mass spectrometry

DOI: 10.1093/biomethods/bpae039

研究の支援

本研究の一部は、日本糖尿病財団・ノボノルディスクファーマ研究助成「100万回スケールのマルチプレックス相互作用解析技術による糖尿病分子ネットワークの分子基盤解明（代表者：矢崎潤史）」、武田財団ビジョナリー研究助成「DNAバーコーディングによるデジタル蛋白絶対定量（代表者：矢崎潤史）」による支援を受けて行われました。

脂肪細胞の分子ネットワーク解明は、新たな医療技術への道を開く！

摂南大学の研究グループによる脂肪細胞の分子ネットワーク解明は、医療分野に大きなインパクトを与える可能性を秘めています。従来、たんぱく質間相互作用の解析は時間と労力を要する作業でしたが、ハロマスとAIの組み合わせにより、そのプロセスが飛躍的に効率化されました。これは、新たな薬剤の開発や、より効果的な予防医学の実現に大きく貢献するでしょう。

脂肪細胞の秘密が明らかになることで、生活習慣病対策が進化！

脂肪細胞は、エネルギー貯蔵だけでなく、ホルモンの分泌など、様々な重要な役割を担っています。しかし、その複雑なメカニズムは未だに解明されていませんでした。ハロマスを用いた解析により、脂肪細胞におけるたんぱく質間相互作用の詳細な情報が得られ、脂肪細胞の機能や働きをより深く理解できるようになると期待されています。

AIが医療分野に革命を起こす！

本研究では、AI「AlphaFold Multimer」が重要な役割を果たしました。AIは、膨大なデータ分析や複雑な構造予測を短時間で効率的に行うことができ、医療分野における革新的なツールとして注目されています。今回の研究成果は、AIが医療分野に大きな可能性をもたらすことを示す好例と言えるでしょう。