光無線給電の未来を拓くフライアイレンズの驚異
光がもたらす新しい可能性、特に「光無線給電システム」の導入が期待されています。このシステムにおいて重要な役割を果たすのが、五鈴精工硝子の主力製品である「フライアイレンズ」です。これまでプロジェクターなどに利用されていたこのレンズが、次世代技術にも貢献していることは興味深いです。
フライアイレンズとは?
フライアイレンズは、碁盤の目の形状でレンズセルが配置された独特の光学レンズです。構造は、光源から放出された光を均一に分散させることを目的とし、その形状が蠅の目に似ていることから名付けられました。従来の製造方法では、個別に作成したレンズを組み合わせる必要がありましたが、五鈴精工硝子では金型を使用した一体成型によって、大量生産かつコスト削減を実現しています。これにより、品質が均一な製品を安定して供給できるようになりました。
光無線給電の仕組み
光無線給電は、従来の電線やコンセントを必要とせず、光ビームを通じて電気を供給する革新的な技術です。LEDやレーザーから発せられた光は、空間を通じて受光器によって電気エネルギーに変換されます。自由度が高まり、容易な設置が可能なこのシステムは、特に大きな消費電力を要する装置や機器にも対応できる特性を持っています。
フライアイレンズの役割
この給電方式において、フライアイレンズはその機能を最大限に活かすことができます。特に、複数の光源を使用する場合、フライアイレンズの均一な光を生成する力が重要です。これにより、受光部に光が均一に届くことで充電効率が向上します。さらに、受光位置のずれに対する補正能力も備えているため、安定した給電が実現します。
宮本准教授から聞く光無線給電の最新情報
東京科学大学の宮本智之准教授によれば、光無線給電はIoTデバイスへの効果的な給電手段としても期待されています。バッテリー充電の課題を解決し、多数の小型端末を遠隔で給電することが可能です。また、自動車の走行中充電や水中での給電、さらには宇宙における光無線給電の可能性にも言及されています。
自動車の走行中充電
レーザー技術を利用することで、自動車が走行中に充電する仕組みを築くことができ、結果として電気自動車のバッテリー容量を大幅に削減することが期待されています。伝送距離が長く、インフラの拡張が容易な光無線給電は、コスト面でも優れた解決策となる可能性があります。
水中給電の展望
水中における光無線給電の実現も期待されています。透明な水中では青色の光が20~30メートルの距離まで届くため、フライアイレンズを使った給電が有効とされています。
宇宙での可能性
JAXAでも光無線給電技術が探究されています。宇宙で重い電線を持ち込むことが難しいため、光による電力供給の研究が進められています。この技術は、月のクレーターのような太陽光が一部当たらない場所における探査機への給電にも有用とされています。
企業活動とカンファレンス
近年、各通信企業も光無線給電システムの研究やアプリケーション開発への取り組みを強化しています。また、毎年行われている「光無線給電システムに関するカンファレンス(OWPT)」などのイベントも、この技術のさらなる発展を促進しています。
このように、フライアイレンズと光無線給電システムは、未来の様々な分野での技術革新を牽引する重要な要素となることが期待されています。今後の進展から目が離せません。