ベンチャーキャピタルの成長を促進する「推奨・期待される事項」とは?金融庁有識者会議で議論

ベンチャーキャピタルの成長促進に向けた議論:金融庁有識者会議



金融庁は、国内のベンチャーキャピタル(VC)業界の成長を促進するため、「ベンチャーキャピタルに関する有識者会議」を開催しました。第2回となる今回は、VC向けの「推奨・期待される事項」について、有識者らによって活発な議論が交わされました。

議論の焦点は、海外機関投資家からの資金調達を促進し、世界で戦えるメガスタートアップの創出につなげるための具体的な方策です。会議では、VC向けプリンシプルの位置づけや対象範囲について、前回議論を踏まえた上で修正案が提示されました。

従来の「プリンシプル」から「推奨・期待される事項」へ

従来は、VCに対する行動規範としての「プリンシプル」を策定するという方向性で議論が進められていましたが、今回の会議では、規制当局がルールを定めることでVCの多様性を阻害してしまう可能性を懸念する声も挙がりました。

その結果、アウトプットの名称は「推奨・期待される事項」に変更され、金融庁ではなく、有識者会議が作成主体となりました。これは、VCが自主的に判断し、柔軟に対応できるよう配慮したものです。

VCのガバナンス向上と資金調達環境の整備

「推奨・期待される事項」では、広く内外機関投資家から資金調達を目指すVCに対して、LP(有限責任組合員)とGP(無限責任組合員)がファンドの資金調達・運用において留意すべき事項が盛り込まれています。

具体的には、受託者責任、持続可能な経営体制の構築、コンプライアンス管理、LPの権限の透明性確保、利益相反管理、情報提供など、機関投資家から求められる高い水準のガバナンスが推奨されています。

さらに、投資先の価値向上という観点から、スタートアップとの投資契約、投資先の経営支援、資本政策支援、上場後の対応、ESG対応・ダイバーシティの尊重などが期待されています。

これらの事項が、VCのガバナンス向上につながり、国内外の機関投資家からの資金調達を促進することで、VCの成長拡大とスタートアップエコシステムの発展に貢献すると期待されています。

多様性と成長のバランス

会議では、CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)や初期段階のVCなど、VCの規模や特性によって、これらの事項がどのように適用されるべきかについても議論が行われました。

VCの多様性を維持しながらも、高い水準のガバナンスを導入し、成長を促進する具体的な方法について、今後の議論が注目されます。

今後の展望



今回の会議で提示された「推奨・期待される事項」は、VC業界全体のガバナンス向上を促す重要な一歩となります。

政府は、この事項がVCの資金調達・運用に係る実務において適切に参照されるよう、普及啓発や実態調査等を進めていく予定です。

VC業界のさらなる成長と、世界で戦えるメガスタートアップの創出に向けて、関係者の連携が不可欠です。

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