多様化する時代における仕事のやる気の培い方とは
日本の仕事への意欲は長きにわたって低迷しています。この問題は、多くの経営者や管理職が直面している課題でもあります。社員一人ひとりの価値観が多様化し、働く意義が重視される現代、企業はどのように「やる気」を育むべきなのでしょうか?
ワーク・モチベーション研究とは
ワーク・モチベーションの権威である株式会社JTBコミュニケーションデザインの菊入みゆき所長は、企業が直面する課題と社員の意識変化について貴重な意見を述べています。彼女は1993年に同社の前身組織に加入以来、モチベーションの研究に邁進し、30年以上の経験を持つ専門家です。
彼女の研究は、販売実績の差が店舗スタッフの意欲に起因することに気づいたことから始まりました。それが大手流通企業での経験を経て、学術的なアプローチに進化しています。
モチベーションの低下の背景
1990年代初頭から「モチベーション」という言葉が日本でも知られるようになりましたが、実際には日本人の仕事への満足度は低下し続けています。その原因の一つは企業が社員への投資を怠ってきたこと。そして、経済の長期低迷が続く中、「働く意味」を見失い、多様化した価値観によってモチベーションを維持するのが難しくなっているのです。
経営者が抱える課題
時代が変わり、組織内の目標が共有しにくくなった今、経営層は社員の「内発的なやる気」を引き出すことに苦慮しています。企業が成功するには、社員のモチベーションが不可欠であり、特に若い世代はSDGsやダイバーシティといった社会的な価値を重視しています。
心理的居場所感の重要性
社員一人ひとりが「ここに自分の居場所がある」と感じる環境を整えることが、モチベーションを高める第一歩です。「心理的居場所感」を育むためには、構成要素として役割感・安心感・本来感の三つが鍵となります。
企業が求めるべき変革
企業は、自社が社会に存在する意味を常に発信し続ける必要があります。社員が「会社は社会課題の解決に貢献している」と認識することで、やる気が高まります。また、社長や経営層との距離感が近くなることで、社員のモチベーションも上がる傾向があります。
未来への展望
AIや社会情勢の変化により、企業の枠組み自体が変わる可能性があります。そのため、ワーク・モチベーション研究所は企業活動以外にも注目し「人の行動」や「地域への愛着」についても研究を進めています。
自らの強みを活かし、安心して挑戦できる職場を作ることで、モチベーションの伝播を促す基盤を築くことが期待されています。
まとめ
モチベーションとは、行動を引き起こすエネルギーです。社員が自発的に動ける環境を整えることが、企業の成長と社会全体の豊かさに貢献するでしょう。本記事では、今後の組織と社会が持続的に発展するためのヒントを探る研究が進められています。