新たな可能性を拓く放熱素材の連携
2024年11月28日、名古屋市に本社を置く株式会社U-MAPと千葉県柏市の岡本硝子株式会社が資本業務提携を発表しました。この提携により、AlN(窒化アルミニウム)セラミックス基板の量産体制が整い、次世代エレクトロニクス向けの新たなソリューションが誕生します。
資本業務提携の意義
U-MAPは、独自の放熱素材技術を持つスタートアップです。その技術を活かし、放熱性能を求められるエレクトロニクス業界への貢献を目指しています。一方、岡本硝子は特殊ガラスの製造に特化し、長年の経験に基づいて技術を磨いてきました。この両社の提携により、各々の技術が融合し、AlN基板の生産が可能に。具体的には、4.5インチサイズのAlN基板を月に3万枚も生産できる体制を整えました。
AlN基板のポテンシャル
AlN基板は、LEDやLD(レーザーダイオード)等の光学分野において特に重要な役割を果たします。また、パワーエレクトロニクス分野においても、熱管理問題の解決が期待されています。最近では、生成AIの普及に伴いデータ処理量が増加している中で、データセンター内部の熱対策のニーズが高まっています。本提携で生まれるAlN基板は、熱伝導性と電気絶縁性の両立を実現し、熱管理ソリューションとして特に有望です。
合作による製品展開
両社は今後、製品ラインナップを拡充させていく意向です。特に注目されているのは、従来のAlN基板の機械強度を2倍近く向上させた次世代高強度AlN基板の開発です。この新たな製品は、5G・6G通信モジュールや再生可能エネルギーにおいて使用されるSiC/GaNを活用したパワーデバイスの熱課題解決に寄与することが期待されています。
現時点で、両社は4.5インチサイズのサンプルをエレクトロニクス企業に提供中で、品質保証体制を整えたうえで市場投入を計画しています。
背景と支援
本プロジェクトは、関東経済産業局とリバネス社による「中堅・中小企業とスタートアップの連携による価値創造チャレンジ事業」のマッチングを契機として始まりました。その後、性能向上や生産技術の開発を推進し、わずか3年でAlN基板の量産化に成功しました。
両社のビジョン
U-MAPの代表取締役、西谷健治氏は「両社の技術融合により、量産化を短期間で実現することができました。この成果に満足することなく、さらなる技術革新を目指します」とコメント。岡本硝子の岡本毅会長は、「私たちは次の100年に向けて進化し続けます。U-MAPとの協力を通じて、デジタルトランスフォーメーション時代における安心・安全を提供してまいります」と述べました。
おわりに
U-MAPと岡本硝子の資本業務提携は、放熱素材の革新とエレクトロニクス業界の発展に寄与することでしょう。今後の製品展開に注目が集まります。両社の新しい製品や取り組みは、我々の生活をより快適に、安全にするための重要な一歩と言えるでしょう。