95年の時を超え誕生した「ナパ・ヴァレー・甲州」ワインの物語

ナパ・ヴァレー・甲州の誕生

2017年10月、カリフォルニアのナパ・ヴァレーは大規模な山火事に襲われ、地域のワイン産業に大打撃を与えました。特に、人気の高いカベルネ・ソーヴィニヨンの樹木が多く焼失し、約400本の影響を受けました。しかし、運なことに、葡萄の根や木の一部分が土中に無事に残されていました。この窮地を乗り越えるため、ナパのワイン生産者は新たな挑戦を始めます。

彼らは、カリフォルニア大学デービス校に保存されている甲州葡萄の苗に目をつけ、その枝を手に入れることに成功しました。これにより、焼け焦げたカベルネ・ソーヴィニヨンの木を利用して、新たに甲州品種を育てるプロジェクト「Napa Valley Koshu」の立ち上げが決定されました。

このプロジェクトは、彼らにとって未知の挑戦であり、疑問や不安が渦巻いていました。しかし、「良いワインには良い葡萄が必要」との信念のもと、ナパ・ヴァレーが持つ独自のテロールが、良質な甲州葡萄の育成に最適であると信じ、着実に作業を進めました。そして2021年の秋、その努力が実り、初めて約1トンのKoshu葡萄の収穫に成功しました。これは、甲州葡萄の苗が宮崎大学からUCデービス校に送付されてから、なんと95年目の出来事でした。まさに、火災がもたらした奇跡とも言える成果でした。

Napa Valley Koshu ワインの特徴

Napa Valley Koshuは、日本の甲州ワインとは異なる魅力を持っています。色合いや香り、味わい全てにおいて新たな特色があり、シャルドネやソーヴィニオン・ブランと並ぶ新たな白ワイン品種として成長する可能性を秘めています。このワインは特に日本料理、寿司、天ぷら、懐石料理などとの相性が抜群です。

- 品種: Napa Valley Koshu 100%
- ヴィンテージ: 2021
- 本数: 500本
- 所有者: Kazumi Wines（カリフォルニア）

この新たなワインの登場は、ナパ・ヴァレーが持つ独自の風味を生かした革新であり、ワイン愛好家にとって新たな選択肢を提供するものとなります。山火事という自然災害を経て誕生したこの「ナパ・ヴァレー・甲州」は、苦難を乗り越えた生産者たちの情熱の象徴でもあり、この希少なワインを通じて彼らの努力を知ることができるでしょう。

詳細については、以下の関連サイトを訪れてみてください。