廃材を活用したSDGs教育の取り組み
広島市でジャンルを超えた地域企業と学校が協力し、環境意識を高める特別授業が実施されました。明治30年に設立された老舗バッグメーカー「片岡商店」と、米袋メーカーの「シコー」が手を組み、中学校で廃材を扱ったワークショップを行いました。
参加者の抱える課題とは?
このワークショップには関与する3者それぞれに特有の問題がありました。片岡商店は、広島県内の約40校にスクールバッグを納入する中で、脱プラスチックといった時代の流れに対し大量のポリ袋を使わざるを得ないことに戸惑いを感じていました。
一方で、シコーは米袋の生産過程で印刷不良が発生し、再利用されることなく廃棄されてしまう現状に懸念を持っていました。彼らは「性能に問題のない米袋が廃棄されるのはもったいない」と感じていました。そして、楠那中学校はSDGs教育を実施しているものの、扱うテーマが広範すぎて生徒が実感を持てない状況に悩んでいました。
連携による解決策
そんな中、片岡商店の取締役である片岡勧氏とシコーの代表取締役社長、白石忠臣氏は、偶然の相互交流を通じて「シコーが廃棄予定の米袋をバッグに改造し、学校販売時のポリ袋の代替として利用できないか?」というアイデアを思いつきました。この考えは楠那中学校の福本校長にも提案され、学校側のニーズと見事に合致したため、特別授業が実施される運びとなりました。
新たなエコバッグの制作
ワークショップで使用される米袋は、北広島町の「有)あすなろ」の製品。この米袋からは約50枚の印刷不良が生じており、これがちょうど新一年生の人数と一致しました。そこで、在校生たちが作成したエコバッグを新一年生向けに配布しようという計画が立てられました。
エコバッグには十分な強度が求められるため、米袋は30kgの重さにも耐えられる造りが施されています。また、袋としてのみならず、持ち帰った後もエコバッグとして利用できるため、地域の米ブランドの認知度向上にもつながるという多面的な効果が期待されています。
楽しいSDGsを実践するワークショップ
ワークショップは生徒たちが楽しみながらSDGsを学ぶ機会として設計されました。制作方法は専門的な工具を使わずに済む方法を片岡商店が開発し、特別キットを用意。さらにシコーからもスタッフが参加し、生徒たちがより親しみやすくSDGsを感じられるよう最大限サポートしました。
イベント詳細
- - 場所: 広島市立楠那中学校
- - 日時: 2023年1月16日(月)13:20~14:20
参加者の声
ワークショップの後、学生たちはそれぞれが作ったエコバッグを持ち、新1年生の保護者に配布予定です。この取り組みは、地域社会全体のエコ意識を高める重要な一歩となるでしょう。