すい臓がん早期発見に向けた新しい試み
Craif株式会社は、尿中マイクロRNAを利用したAIアルゴリズムに基づくすい臓がん診断補助医療機器プログラムの多施設共同臨床試験を開始しました。この試験は、すい臓がんの早期発見を目指し、厚生労働省への製造販売承認申請を目指す重要なステップです。
臨床試験の背景と目的
すい臓がんは、発見が遅れやすく、5年相対生存率がわずか10%という低い数値を記録しています。特に症状が現れにくい初期段階での診断が困難であり、早期発見が治療効果を大きく左右します。この背景から、CraifはAIを活用して早期ステージのすい臓がんに特徴的なマイクロRNAのプロファイルを特定し、これを診断補助に役立てる医療機器プログラムの開発に取り組んでいます。
マイクロRNAのポテンシャル
今回の試験では、体液中のマイクロRNAの発現量に基づき、すい臓がんの可能性を評価します。マイクロRNAは、がん細胞がエクソソームを介して分泌するバイオマーカーとして、がんの早期発見に有用だと考えられています。尿中での採取が可能なため、非侵襲的な検査方法として注目されています。
医療機器の活用シナリオ
本医療機器は、既存の腫瘍マーカーや超音波検査と併用することで、すい臓がんのリスクを有する患者に対し、さらなる精密検査を推奨する補助となります。これにより、より早期の診断と適切な治療の選択が期待されます。
専門家の意見
川崎医科大学の吉田浩司教授は、すい臓がんの早期発見の重要性を指摘しています。腫瘍マーカーや超音波検査の感度が不十分な中、この非侵襲的な尿検査が実用化されれば、すい臓がんの早期発見につながる可能性が高まると述べています。この試験での有効性が示されれば、将来的には保険適用になることも期待されています。
試験概要
- - 試験名称: 尿中バイオマーカーを用いた機械学習モデルによる膵がん診断性能の研究
- - 目標参加者数: 800名
- - 試験終了見込: 2025年12月
- - UMIN試験ID: UMIN000053882
- - URL: UMIN
Craifについて
Craif株式会社は2018年に設立された名古屋大学発のベンチャー企業です。尿をはじめとした体液中からマイクロRNAを高精度で検出する技術を持ち、がんの早期発見や個別化医療の実現に向けた検査開発に注力しています。今後もこの新しい診断方法が実用化されることで、多くの患者に光明が差し込むことが期待されます。