物流施設市場の現状と展望
クッシュマン・アンド・ウェイクフィールド(C&W)が発表した「物流施設 2025年上半期レポート」は、物流市場が直面しているさまざまな課題に光を当てています。本記事では、賃料動向、需給バランス、荷動きなどの側面から、物流市場の現状を詳しく分析します。
荷動きの低迷と価格の異変
2025年6月時点での貨物輸送量は、前年同月と比較して7.1%減少したことが報告されています。特に、輸送トン数と輸送トンキロの両方で減少が顕著になっており、NX総研の荷動き指数は2023年第1四半期から9四半期連続で2桁のマイナスを記録しています。このような低迷の原因として、慢性的な人手不足や物価上昇による個人消費の冷え込みが指摘されています。
また、建設費が高騰し新設住宅着工数や公共工事が減少したことで、物流需要の回復が難しい状況が続いています。その中で、物流事業者は価格転嫁を進めており、食品分野では賃料が7.1%から9.1%へと上昇しています。電気料金やエネルギー価格の高騰が倉庫運営費に影響を与え、企業のコスト負担が増加する一方、トランプ関税の影響が業界全体に及ぶ可能性もあり、分析が求められています。
賃料の動向と需給ギャップ
物流施設の表面賃料は上昇傾向にありますが、それに対して実質賃料は下落しています。この乖離は、特に供給過多のサブマーケットで顕著です。テナント誘致を目的としたフリーレント、つまり賃料免除期間の提供が増えており、現時点でも一定の需要が見込まれます。
しかし、実際の契約にはテナント企業が賃料改定に対する理解を示す一方で、荷動きの減少や高い空室率が影響し、賃料改定に関する合意は個別の事例に依存しています。これにより市場全体の賃料の上昇は限定的な進展に留まっていると言えます。
今後の見通し
2025年下半期においては、首都圏での新規供給が抑制される見通しであり、需給バランスの改善が期待されています。この流れの中で、フリーレントが縮小する可能性もあるとされています。また、テナント企業による「トランプ関税」の影響を見極める様子見の姿勢が続く場合、需給バランスの改善にはより多くの時間がかかることが予想されます。
円高が進行すれば輸出減のリスクはあるものの、同時に輸入品が値下がりすることによって物価高が抑制され、関連する荷動きが促進される可能性も秘めています。
まとめ
C&Wの2025年上半期レポートは、物流市場の現状を理解するための重要な資料となります。引き続き、物価動向や市場全体の需給バランスに注視し、今後の変化に備える必要があります。詳しい内容は、レポートPDF版をご覧ください。