行動変容とテクノロジーで描く脱炭素都市の未来を探る
2025年5月、東京都で開催された「SusHi Tech Tokyo 2025」で、Lime株式会社の日本代表であるテリー・サイ氏が登壇しました。このカンファレンスは、アジア最大級のグローバルスタートアップイベントであり、持続可能な都市づくりに向けたテクノロジーの活用がテーマです。
この日、テリー・サイは「行動変容×テクノロジーで描く脱炭素都市の未来」というセッションに参加し、グリーンモビリティの社会実装がもたらす脱炭素化の可能性について熱く議論しました。セッションでは、企業の温室効果ガス(GHG)排出量の可視化や、生活者の行動を変えるためのテクノロジー利用の重要性が強調されました。この背景には、日本の経済における中小企業の割合が99.9%という構造的な特性が影響しており、個別の取り組みによる限界も指摘されました。
脱炭素化への道のり
Limeが展開する電動モビリティは、世界30カ国以上で導入され、地域の規制に合わせて車両開発や安全設計が行われています。テリーは、「東京にはこの問題を解決する潜在的な要素が多く存在する」と述べ、特に短距離移動におけるグリーンモビリティの重要性を強調しました。彼は東京の交通事情やCO2排出量の課題を指摘し、6マイル(約10km)以内の移動の60%以上が自動車に依存している現状を分析しました。
さらに、ロンドンなどのヨーロッパ都市に見られる電動モビリティ優先ルート、いわゆる「グリーンレーン」の必要性を説き、自転車レーンが整備されつつある東京の現状にも触れながら、「東京全体での学び合いを通じて、より持続可能な社会へ進化できる」とのビジョンを伝えました。
SusHi Tech Tokyo 2025とは
このカンファレンスは、「持続可能な都市をハイテクで実現する」というビジョンのもと、多岐にわたるテクノロジーを通じて新たな価値を創造することを目的としています。大企業、投資家、スタートアップが集い、未来志向のアイデアや技術が交わる場となっています。テリーの発表もその一環であり、脱炭素化の実現に向けた具体的なアプローチが紹介されました。
参加者からは、テリーの議論に対して多くの共感が寄せられました。特に、環境問題に取り組む上でのテクノロジーの重要性や、コミュニティとの連携がいかに重要であるかが印象に残ったとの声が上がりました。テリーは日本の消費者や企業の意識を変えるために、継続的な啓発やその実現に向けての取り組みを強調しています。
Limeのビジョンと取り組み
Limeは「Build a future where transportation is shared, affordable and carbon-free」というミッションのもと、都市の脱炭素化を促進するための社会実装を進めています。特に、交通・輸送分野からのCO2排出量は世界の約25%に達しており、これを見直さなければならないとの強い認識がスタッフ全体に浸透しています。テリーは、電動モビリティの利用が実現可能な75%のCO2削減に寄与する可能性を説明しながら、公共交通としての役割がいかに重要であるかを力説しました。
Limeのマイクロモビリティサービスは、日常の交通手段としての普及が進む中、環境への貢献、そして都市の生活をより快適にするための重要な要素であると位置づけられています。今後も彼らの取り組みに注目が集まります。
最後に
東京におけるグリーンモビリティの未来は、テリー・サイのビジョンを基にした新たなアプローチと技術によって、大きな前進を遂げることでしょう。脱炭素社会を実現するためには、一都市の枠を超えた協力が不可欠だと感じさせるセッションでした。参加者が一丸となって未来を描く姿に、このカンファレンスの可能性を見た方も多いのではないでしょうか。