新型赤外光センサー
2026-05-20 09:23:56

室温で動作可能な赤外光センサー、家庭から医療分野まで広がる活用期待

室温で動作する新型赤外光センサーが登場



名古屋大学大学院工学研究科の中塚理教授と日本電気株式会社(NEC)が共同で開発した新しい赤外光センサーが、幅広い分野での活用が期待されています。このセンサーは、室温で動作し、波長1.55~3μmの赤外光を検出できる技術で、家庭や医療、環境モニタリングなど、生活に身近な場面での利用が見込まれています。

開発の背景



従来の赤外線センサーは、主に冷却が必要で高価なものが多く、特に中赤外光(3μm周辺)の検出においては、センサーの価格や大きさが普及の障壁となっていました。新たに開発されたこのセンサーは、小型化が可能で、従来のセンサーではカバーできなかった波長帯を室温で扱うことができます。これにより、例えばメタンなどの温室効果ガスの検出や、呼気の分析、さらには食品や医薬品の品質管理など、多岐にわたる用途への道が開けます。

技術のポイント



本研究では、近〜中波赤外域で高い透過性と導電性を持つ新しい電極素材、iTCO(infrared-transparent conductive oxide)を開発。この電極と、高効率な赤外光の吸収が可能な半導体材料、ゲルマニウム錫(GeSn)を組み合わせることで、室温での動作を実現しました。

特筆すべきは、Ge基板上にSnの組成を13.6%まで高めた高品質なp型GeSn層を成長させることに成功した点です。これにより、3μm付近の感度を高めることができ、従来技術を上回る性能を持つ赤外センサーを実現しています。

幅広い用途への展開期待



試作されたセンサーは、単一のデバイスで通信波長帯(1.55μm付近)から3μmの赤外光を検出可能であり、さまざまな用途に応じた展開が見込まれています。具体的には、環境モニタリングによる大気質の測定や、ヘルスケア分野での呼気分析、食品や医薬品の品質保証、さらには産業プロセスの監視など、さまざまなシーンでの利用が想定されています。

研究成果の意義



この研究は、世界的に見ても稀有な成果であり、特に高Sn組成のGeSn層の安定成長に成功したことは、大きな技術的意義を持ちます。また、iTCO電極の導入により、赤外光の効率的な取り込みが可能になり、感度の向上につなげることができます。この新しいセンサー技術が、今後の産業実装や市場普及に貢献することが期待されます。

2026年国際会議での発表



この研究成果は、2026年5月17日から21日に米国ノースカロライナ州Charlotteで開催される『Conference on Lasers and Electro-Optics (CLEO)』において講演される予定です。同会議での発表は、先端技術を探求するキーパーソンたちにとって重要なフィードバックの場となることでしょう。

新しい赤外光センサーの登場によって、これまで高感度センサーが求められていた多くの現場に、室温で手軽に利用できるデバイスが提供されると考えられています。今後の発展が楽しみです。


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会社情報

会社名
日本電気株式会社
住所
東京都港区芝5丁目7-1
電話番号

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