株式会社anemosuが『野菜師』を発表
2024年8月31日、株式会社anemosuが新たなノンフィクション書籍『野菜師』の制作発表を行いました。著者はジャーナリストである東郷まどか氏。この書籍は、葉野菜農家である熊澤秀治氏の半生を中心に、野菜の魅力や独自の栽培技術について深く掘り下げています。
生食文化の先駆者
書籍では、赤軸ほうれん草による生食ブームを引き起こした熊澤氏が、トウモロコシの完全生食に挑戦する姿が描かれています。彼は生で食べるためのトウモロコシ栽培に成功し、その独自の技術と遭遇するさまざまな事件について綴ります。農業の現場での経験を生かし、どのようにして野菜が人々に愛されるものとなるのか、彼の半生を通じて伝えています。
フィロソフィーと生産技術
「料理の美味しさは、自分が肥やしの前でどんな感情を抱くかから決まる」と語る熊澤氏は、植物と微生物の生理メカニズムを活用した独自の栽培方法、「アミノ酸マジック」によって、市場で高い評価を得ています。この技術の詳細や、彼のこだわりに迫る内容は、料理人や食に興味のある方にとっても読み応えがあります。
名言と農業への情熱
また、熊澤氏のユニークな言葉や、「めんどくさいジジイ」たちに対するリスペクトが溢れる農業名人たちの物語も魅力の一つです。彼らの名言や、畑から生まれる豊かな表現は、読者に深い印象を与えるでしょう。野菜に対する真摯な姿勢と、ユーモアを交えた視点から、農業の魅力を伝えています。
幻の在来野菜と物語
物語の中には、牧野富太郎博士や作家の宮尾登美子氏が取り上げられ、幻の野菜「潮江菜」の復活劇が描かれます。30年以上続いた探求の果てに見つけ出された野菜の歴史は、読者に新たな気づきをもたらします。このように、さまざまなテーマが交錯する作品は、単なるノンフィクションに留まらない深い感動をもたらすことでしょう。
新人作家としての挑戦
著者の東郷まどか氏は、本作を執筆する際、八百屋での経験を活かし、約12万字に及ぶ量をまとめ上げました。初めての作家名義での作品ですが、彼の視点で表現されたストーリーは、専門家たちの厚意に支えられ、多くの人々に手に取られることを期待されています。
デザインと出版への思い
書籍のデザインは、株式会社anemosu内で制作され、表紙は写真家の石丸直人氏によるものです。発行人の浅井裕子氏は、野菜の持つ力やその背景にある物語を、広く広めていくことの意義を語っています。「私たちの野菜の物語」として、後世に語り継がれることを願っています。
『野菜師』は、2024年9月下旬に刊行予定で、予価は3900円(税別)となっています。野菜と農業に興味を抱くすべての方におすすめの一冊です。