中央ヨーロッパの黒曜石とその利用
北海道札幌市にある札幌国際大学の国際教養学科で、髙倉純教授が中心となり進められた国際共同研究が、中央ヨーロッパのスロバキアにおいて発見された黒曜石製石器の分析において新たな知見を提供しました。この研究では、約6000年前の交易および石器製作技術について深く掘り下げています。
研究の背景
スロバキア西部に位置するニトラ・セレネツ遺跡で、金石併用時代前期に属する黒曜石製の石器が発見され、その起源を探る必要性が浮上しました。2009年から2010年にかけて行われた発掘調査では、遺跡の土坑から黒曜石製石器が入手され、その製作技術や使用方法についての詳細な研究が行われました。これによって、黒曜石の特殊な利用法が次第に明らかになったのです。
黒曜石の供給元と交易の実態
本研究の結果、ニトラ・セレネツ遺跡で見つかった黒曜石の材料は、約250キロメートル離れたハンガリー北東部の産地に由来することが判明しました。このことから、遺跡に持ち込まれた黒曜石がどういった経路で取引されたのか、さらにはどのような技術で加工されたのかといった視点が重要な研究課題として浮上しました。特に、此の黒曜石が押圧剥離法を用いて製作され、小形石刃として使用されていたことが分かりました。
石器製作技術の革新
スロバキアの黒曜石製石器の研究において特筆すべき点は、日本で確立された「フラクチャー・ウィング分析」が初めてヨーロッパの黒曜石資料に適用されたことです。この手法により、製作技術が客観的に判定される過程が体現されました。また、この黒曜石製石器には、砥石によって磨かれた平滑な面があり、その利用法についても新たな洞察が得られました。これらの発見は、古代の石器製作技術がどのように社会や文化に影響を与えたかを考える上での貴重な資料となります。
未来に向けた期待
今後は、中央ヨーロッパにおける黒曜石の利用方法をさらに探求していくことが期待されています。異なる地域や時代の資料にこの分析手法を適用することで、より一層の知見が得られるでしょう。これにより、ユーラシアにおける比較考古学の進展が見込まれます。
おわりに
黒曜石は、その美しさから多くの人々に愛されてきましたが、今回の研究によってその有用性や古代社会における重要な役割が再認識されました。歴史の奥深さを知る手掛かりとして、黒曜石の研究はこれからも続けられることでしょう。以上の研究は、2026年4月11日に国際学術誌「Journal of Archaeological Science: Reports」に掲載される予定です。今後の研究の進展に目が離せません。